キャリアパワー

作文

はたらくことの意味

明治学園小学校5年 野入 桃子さん

私の父は歯科医師です。外来で診療をして、病院に来られない患者さんのために訪問にも行きます。毎日忙しそう。頑張っているな。

母は看護師です。母には、看護師の仕事の他にも仕事があります。主婦という仕事です。毎日ご飯を作ってくれて、掃除や洗濯。家族が心地よく過ごせるようにフル回転。

私は小学五年生。きちんとご飯を食べて、勉強することが私の仕事なのだそうです。なんの不自由もなく、守られている。幸せ。でも本当にそれだけ?なんだか納得がいかないような モヤモヤしたものを抱えていました。

夏の暑い日、ボランティア活動に参加しました。ジャンボタニシの駆除活動です。ジャンボタニシは外来種で食用として人が外国から連れてきた生き物です。 人間の思惑とはうらはらに、食用として人気がでませんでした。それが次第に増えて野生化し、爆発的に増えていきました。ジャンボタニシは何でも食べます。 田んぼの稲も食べつくすので農家の人は困っています。生態系もくずれて、大変な被害です。

「少しでも被害を食い止めたい。」これが、私が活動に参加したきっかけでした。 初めて参加した時は、何をどうすればいいのかわかりませんでした。しかし、活動を始めて今年で三年目。作業の流れや駆除のコツ、注意点などはわかります。 初めて参加した時に私が教えてもらったように、初めて参加してくれた人へ今度は私が教えます。
「すごい!すごい!いっぱい採れるね。」
初めての体験で、ジャンボタニシを見つけられない子も、私のアドバイスでベテラン駆除者に早変わり。しめしめ。私は隠れてにんまりします。

父も母も、仕事を始めたときはうまくいかなかいことが多かったそうです。たくさんの人と関わり、先ぱいに教わり、少しずつ仕事が出来るようになって成長したそうです。
「仕事の成長は、人を成長させる。」父と母の言葉です。この言葉の意味を、私は理解できませんでした。でも最近、何となくわかる気がします。

人は何のために働くのでしょうか。生活するためのお金をかせぐため?もちろん、それもあります。 しかし、ボランティア活動には報しゅうがありません。お金をもらえないのに参加するのは、それ以外の目的があるからです。
「誰かの役に立ちたい。ボランティア活動をとおして、わたしはたくさんのことを学びました。ジャンボタニシについて勉強したり、生態系がくずれるとどうなるのかを調べて考え、実際に行動を起こし活動をすること、みんなで協力すること。得た学びを次の人に伝えること。小学生の自分でも人の役に立てることがあるということ。 もっともっと、ここでは書ききれないほどです。

私にとって、
はたらくことは、気づきです。
はたらくことは、学びです。
はたらくことは、自信です。
はたらくことは、つながりです。
はたらくことは、よろこびです。
はたらくことは…。

私にも何かできるはず。そう思っていても行動できなかったモヤモヤを抱えていた頃の私はもういません。私は、これからもたくさんの「はたらくことの意味」を見つけて生きてゆきます。

あなたにとって、はたらくことは何ですか?

講 評

ジャンボタニシを駆除するというボランティア活動への参加を、ただの一つの経験というだけにとどめずに、それを通してはたらくことの意味を色々と考えて、その意味がたくさん見つけられたところに、大きな成長が感じられました。見つかったはたらくことの意味は、生きることの意味と重なるところもあるかもしれませんね。