<目次>
導入文
派遣の変形労働時間制|2025年現在・業界の普及状況
派遣先が変形労働時間制を導入するメリット
1ヵ月単位の変形労働時間制の場合
1年単位の変形労働時間制の場合
変形労働時間制を派遣社員に適用する手順
派遣の変形労働時間制に関するQ&A
変形労働時間制の残業で割増賃金が発生するケースは?
変形労働時間制を派遣社員に適用する際の注意点は?
変形労働時間制の導入は派遣元と派遣先の連携が重要
導入文
変形労働時間制とは、勤務日や勤務時間を業務の多寡に合わせて決められる制度です。変形労働時間制の一部は、派遣にも適用できます。
皆さんの中には「派遣社員の業務効率化を図りたい」「変形労働時間制の派遣への適用方法が知りたい」と考える方もいるのではないでしょうか。実は直接雇用の社員と派遣では制度の導入方法が異なるため、導入手順の理解が必要です。
本記事では、企業が変形労働時間制を派遣に適用するメリットや導入手順を解説します。派遣にかかるコストを軽減したい人事の方は、ぜひご覧ください。
派遣の変形労働時間制|2025年現在・業界の普及状況
2025年時点における派遣の変形労働時間制は、製造・物流・医療などの特定業界を中心に普及しています。これらの業界は業務の繁忙期が時期によって偏るケースが多く、業務の実情に即した弾力的な労働時間の変更が必要なためです。

派遣社員に適用される変形労働時間制は、1ヵ月単位が主流です。派遣社員の雇用期間は流動的で、長期スケジュールを取り入れるのが難しいとされるケースがあるためです。
派遣先が変形労働時間制を導入するメリット
本章では、派遣に変形労働時間制が派遣先にとってどのようなメリットをもたらすか解説します。派遣に適用できる変形労働時間制は「1ヵ月単位」と「1年単位」の2種類です。
共通の利点に、業務の繁忙期や労働力が必要な時期に合わせて労働時間を増減できる点があげられます。労働時間の増減は、残業抑制と人材活用の効率化につながります。
1ヵ月単位の変形労働時間制の場合
1ヵ月単位の変形労働時間制のメリットは、月ごとに業務量に合わせて労働日数・労働時間が設定可能な点です。対象となる労働者の制限がないため、派遣社員にも適用できます。
導入する際は、1ヵ月以内の一定期間内における労働日数・労働日・労働時間を定めなければなりません。設定できる時間の上限は、業種や暦日数によって異なります。
1年単位の変形労働時間制の場合
1年単位の変形労働時間制のメリットは、派遣社員の長期的なワークライフバランス推進が図れる点です。ワークライフバランスの推進は、以下の効果をもたらします。
● 派遣社員…良好な健康状態やモチベーションの維持
● 派遣先…派遣社員からの信頼度向上や労働力の確保
1年単位の場合も、対象となる労働者の制限がありません。
変形労働時間制を派遣社員に適用する手順
変形労働時間制を派遣に適用する場合、前提として派遣元による労使協定の締結が必要です。労働者が雇用契約を結ぶのは派遣元のため、派遣先の一存による適用はできません。
基本的な手順は以下の通りです。
1. 派遣元が派遣社員と変形労働時間制に関する労使協定を締結
2. 派遣元が就業規則に制度の適用を記載
3. 派遣元と派遣先が労働者派遣契約を交わす際に、法定情報を提示
4. 派遣先・派遣元双方が契約内容を確認して合意
制度の適用時は、派遣元から派遣社員に「変形期間の起算日」「就業日」「就業時間」の提示が必要です。
派遣の変形労働時間制に関するQ&A
ここでは、派遣の変形労働時間制によくある質問から2つ取り上げて回答します。
● 変形労働時間制の残業で割増賃金が発生するケースは?
● 変形労働時間制を派遣社員に適用する際の注意点は?
どちらも派遣元だけではなく派遣先も知っておきたい情報です。ぜひ、参考にしてください。
変形労働時間制の残業で割増賃金が発生するケースは?
法定労働時間または契約で定めた労働時間を超えると、割増賃金が発生する残業になります。
例:所定労働時間が6時間の日
● 6時間超え8時間まで…割増のない残業
● 8時間超え…割増賃金発生
所定労働時間が8時間の場合は、8時間を超えた時点で割増賃金が必要な残業になります。
年単位の変形労働時間制では、月単位で割増賃金の判断は行わず、変形期間全体の総労働時間で管理します。
年単位の変形労働時間制では、以下の計算式で上限時間を算出します。

割増賃金の支払いは派遣元が行いますが、正確な労働時間を記録するためには派遣先の理解も大切です。
変形労働時間制を派遣社員に適用する際の注意点は?
派遣先が変形労働時間制を派遣社員に適用する場合、以下3つの要素を検討することが重要です。
● 人材管理や賃金計算の複雑化
● 一度決めた勤務日や勤務時間はあとから変更不可
● 残業の依頼は派遣元の36協定が必要
制度の適用は事務管理を複雑にするうえ、人材活用の自由度が低下する可能性もあります。また、シフト管理をする際も、派遣元と労働者が交わした契約を基にしなければなりません。
変形労働時間制を派遣に適用する際は、通常の受け入れ以上に派遣元とのコミュニケーションを意識しましょう。
変形労働時間制の導入は派遣元と派遣先の連携が重要
制度の導入は派遣の残業抑制や業務効率の向上をもたらしますが、シフト管理の複雑さや自由度が低下する懸念もあります。企業にはさまざまな要素の比較検討を行ったうえで、慎重な判断が求められます。
また、派遣元とのコミュニケーションや情報交換は、制度を適法に運用するための重要な要素です。シフト管理や残業など気になる点があれば、速やかに派遣元と相談しましょう。
連続勤務日数の制限や残業の発生条件など、変形労働時間制には多くの決まりがあります。詳細は、厚生労働省のリーフレットを参考にしてください。
参照:厚生労働省「「1箇月単位の変形労働時間制」導入の手引き」
参照:厚生労働省「1年単位の変形労働時間制導入の手引」
メタディスクリプション
派遣に変形労働時間制を適用するには、派遣元による制度導入が前提です。本記事では派遣先企業向けに、変形労働時間制の仕組みや派遣への導入手順を解説します。制度を上手く活用し、労働者とWin – Winな関係を構築しましょう。
この記事は役に立ちましたか?
もし参考になりましたら、下記のボタンで教えてください。







コメント