改正育児・介護休業法(育介法)が、4月から施行されました。育児分野では仕事と育児の両立をさらに支援する内容で、介護分野では介護離職の防止が主眼です。ただ、既存制度の改正や手直しが多く、内容も多岐に渡ることから、定着するまでには時間が掛かりそうです。
育児では、子供の病気やケガ、予防接種時などに取得できる「子の看護休暇」が「子の看護等休暇」に少し名称変更されました。新たに子供の入園・卒園式への参加、インフルエンザなどの学級閉鎖などにも適用され、対象も「小学校就学前まで」から「小学3年生まで」に延長。親の対象者も、従来は対象外だった「勤続6カ月未満」の人にも適用されるため、転職直後の人なども利用しやすくなります。
また、従来は3歳未満の子供を持つ親に限定されていた「残業の免除」が、小学校入学前までに延長されます。残業によって保育園への「お迎え」が間に合わないなどの不都合を避けるためです。また、男性の育児休暇取得を促進することを目的に、男性の育休取得率の公表義務を従来の「従業員1000人超」企業から「従業員300人超」企業に拡大します。
第2弾として10月からは、「柔軟な働き方」を促進する狙いで、企業側が講じる措置を従来の3歳未満から小学校入学時まで延ばし、措置内容に「テレワーク」を追加。企業側はフレックスタイム、時短、テレワークなど5項目から2項目以上の措置を義務付けられ、利用者はそのうちの一つを選べる仕組みです。従って、企業によって措置内容が異なる可能性もあり、利用を希望する社員は自社がどの制度を採用しているか確認する必要があります。
一方、介護では社員が介護に直面する前の段階からの情報提供を企業に義務付け、おおむね40歳ごろを想定しています。また、研修実施や相談窓口などの設置、利用者への意向確認などの制度整備も義務付けました。
厚生労働省によると、親などの介護のため毎年10万人前後の人が離職しています。また、年齢的に企業などで中核的な役職に就いている人も多く、介護と仕事の両立を制度面から支援する必要に迫られているのです。
改正育介法の施行には雇用保険からの支援も併せて実施し、4月から育児関係では「出生後休業支援給付」と「育児時短就業給付」制度を新設します。前者は子供が生まれた親が育休を取得した場合に育休給付金を13%上乗せし、給付率を現在の67%から80%に引き上げ、手取り額を8割から10割相当とします。期間は最大28日間。後者は、2歳未満の育児による時短勤務で賃金が下がった場合、支払い賃金の最大10%を上乗せします。
こうした一連の制度改正は、労働力不足の深刻化を背景に、育児や介護による現役世代の離職を防ぎ、家庭生活との両立を支援するのが目的です。しかし、人的余裕のない企業や職場では、この種の負担の少ない人に仕事のシワ寄せが行きがちで、必ずしも社会的な合意事項にはなっていない実態があります。改正法の浸透・定着には企業内、また社会全体の理解が必要となります。
提供:アドバンスニュース
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