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業界団体からヒアリング、離職後1年以内の派遣禁止撤廃など求める 労政審

パートタイム・有期雇用労働法(パート・有期法)と労働者派遣法の見直し議論を展開している労働政策審議会の「同一労働同一賃金部会」(守島基博部会長)は4月22日、企業の労使や関係団体などを招いてヒアリングを続行しました。基本的に非公開で実施していますが、この日は派遣法をテーマに展開し、日本人材派遣協会と製造請負・派遣の業界団体である日本BPO協会が公開で行われました。5月以降は、これまで挙がった意見や指摘などを踏まえて公労使各6人の委員が議論を深めます。

「同一部会」は今年2月、2018年11月以来、約6年ぶりに再開。「働き方改革関連法」のうち、「雇用形態にかかわらない公正な待遇の確保」を巡る「パート・有期法」と「派遣法」について、20年4月の施行から5年経過したことを受けて実施しています。4月は9日に2労働組合と1企業、15日は2労働組合と2企業、この日は「派遣法」をテーマに業界団体などからヒアリングを行いました。

日本BPO協会と日本人材派遣協会は、公正な待遇確保のための取り組みやキャリアアップとキャリア形成支援の具体的な方策などを説明したうえで、両団体ともに2012年の改正労働者派遣法で盛り込まれた「離職後1年以内の派遣禁止」に言及。「賃金を含む公正な待遇は確保されている」「離職者が派遣社員として再び労働市場に参加できる機会が広がる」などとして、多様な働き方を推し進める観点から撤廃を求めました。

また、派遣法20年改正で導入された原則の「派遣先均等・均衡方式」と、実態として9割以上が採用している「派遣元労使協定方式」の課題も取り上げました。日本BPO協会は「労使協定方式が大多数を占め、派遣先均等・均衡方式の単独選択率は厚生労働省の調べで7.7%に過ぎず、原則と例外が逆転している」と指摘。「この方式が原則となった背景には、働き方改革実現会議で欧州モデルを参考にしたことによるものと理解しており、そのため、当初のガイドラインでは派遣先均等・均衡方式を基盤とした考え方のみが示され、後に、今の労使協定方式の基礎となる三要件などが追加された」と経緯を説き、「日本には欧州モデルのような企業横断的な職種別賃金相場がないので、派遣先均等・均衡方式を原則とすることには無理がある」と、再考の必要性を提言しました。

これに関連して、2017年の同一労働同一賃金に向けた検討会でも、有識者委員から派遣先均衡を原則にすることに対して慎重な意見が挙がり、報告書にも「派遣先との均衡を求める方向に慎重な意見」との記載が多数あることを紹介。「今後も原則としている方の増加の見込みは低いと考えられるとしたうえで「最大の課題は『労使協定が適正に締結されていない場合、原則である派遣先均等・均衡方式が適用される』点だ。この場合、派遣先による賃金変動で生活の不安定化が懸念され、派遣元としても雇用管理がしにくくなり、派遣社員の納得感も損なわれる」と強調しました。

「同一部会」は、(1)均等・均衡待遇の規定(2)同一労働同一賃金ガイドライン(3)非正規雇用労働者に対する支援――の3点を軸に検討。正式名称は「労働政策審議会 職業安定分科会 雇用環境・均等分科会 同一労働同一賃金部会」で、雇用環境・均等局と職業安定局が連携して運営しています。5月以降の部会では、こうした意見や視点などを踏まえて見直し議論が展開される見通しです。

提供:アドバンスニュース

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