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派遣の苦情例と対応方法|解決までの流れ・指揮命令のポイントを解説

<目次>
導入文
派遣のよくある苦情例3選|担当者の対応方法を解説
 1.契約内容と実際の業務内容が異なる
 2.職場内でのハラスメントや人間関係
 3.福利厚生や職場環境に関する不満
派遣の苦情例から学ぶ解決までの処理の5ステップ
 1.派遣社員から苦情を受け付ける
 2.派遣先責任者への報告と事実確認を行う
 3.派遣会社へ連絡・報告する
 4.派遣社員へのフォローアップを行う
 5.派遣先管理台帳へ記載する
派遣の苦情を未然に防ぐ指揮命令のポイント
【まとめ】派遣の苦情例と対応方法を理解してトラブルを防ぐ

導入文

「 派遣社員から苦情が来たらどう対応すればいいの?」
「派遣先苦情申出先担当者の役割って何?」

派遣の受け入れ経験が少ない企業では、こうした悩みを抱える担当者が少なくありません。適切な対処法を知らずに対応すると、トラブルが拡大する可能性があります。

この記事では、以下の内容を解説します。

● よくある苦情例と対処法
● 苦情処理の流れ
● 未然に防ぐポイント
● 派遣先苦情申出先担当者の役割

誠実な対応が、派遣社員との絆となり、ひいては会社を守る強固な基盤になります。本記事を参考に、信頼に満ちた現場づくりを進めていきましょう。

派遣のよくある苦情例3選|担当者の対応方法を解説

派遣社員からよくある苦情例は以下の3つです。

1. 契約内容と実際の業務内容が異なる
2. 職場内でのハラスメントや人間関係
3. 福利厚生や職場環境に関する不満

順番に解説していきます。

1.契約内容と実際の業務内容が異なる

派遣社員の苦情で最も多いのが、契約と異なる業務を指示してしまうケースです。放置すれば損害賠償請求や労働局からの是正指導等を受ける可能性があります。苦情を受けたら、すぐに契約書を確認してください。

契約から外れていれば、指揮命令者に指示を中止させ、派遣元と再調整します。指揮命令権は契約範囲内でのみ有効です。現場任せにせず、組織全体で契約内容を共有し、トラブルを未然に防いでいきましょう。

2.職場内でのハラスメントや人間関係

派遣先でのハラスメントは、最も深刻な苦情原因の一つです。適切な対応を怠れば、SNS等で情報が拡散され、企業の評判や採用活動に深刻な影響を及ぼします。苦情を受けた際は、速やかに事実確認を開始してください。

加害者が指揮命令者の場合は、派遣元へ直ちに報告し、被害者の安全確保を最優先に対応してください。その上で、社内規定に基づいた適正な調査手続きを進め、ハラスメントが確認されれば就業規則に基づき、当該行為者に対して適切な措置を講じます。

この適正かつ迅速な初動対応が企業の信頼性を左右します。ハラスメント対策への投資は、優秀な人材確保につながる重要な取り組みです。

3.福利厚生や職場環境に関する不満

派遣社員から「休憩室が使えない」「ロッカーがない」といった苦情が寄せられたら、早急に対応してください。派遣法では、派遣社員についても、給食施設・休憩室・更衣室などの福利厚生施設について、派遣先の通常の労働者と同様に利用できる機会を与えることが義務付けられています。
これに反し、合理的な理由なく利用を制限した場合には、法令違反として是正指導等の対象となる可能性があります。

苦情を受けたら、現場の利用状況を確認し派遣元へ報告してください。関係部署と調整し、明確な利用ルールを示せば、派遣社員の定着と職場環境の改善につながります。

派遣の苦情例から学ぶ解決までの処理の5ステップ

申出から処理までの流れは以下の5つです。

1. 派遣社員から苦情を受け付ける
2. 派遣先責任者への報告と事実確認を行う
3. 派遣会社へ連絡・報告する
4. 派遣社員へのフォローアップを行う
5. 派遣先管理台帳へ記載する

それでは順番に解説していきます。

1.派遣社員から苦情を受け付ける

派遣社員から相談を受けたら、直ちに個室での相談の場を設けてください。廊下や事務所での対応は、二次被害を生み出します。対応を誤れば、労働局からの指導や勧告の対象となり、事案の内容によっては行政上の重い措置が講じられる可能性もあります。

話を遮らず傾聴し、日時・相手・内容をメモに残してください。指揮命令者への苦情なら、利害関係のない別の担当者が対応します。「秘密厳守」と「不利益取扱いの禁止」を約束する。この初動が、派遣社員の信頼を勝ち取り、会社の未来を守ります。

2.派遣先責任者への報告と事実確認を行う

苦情を受けたら、24時間以内に派遣先責任者へ報告してください。一日でも遅れれば、派遣社員から不信がられます。日時・場所・関係者名を具体的に伝え、即座に事実確認を開始させます。
指揮命令者が関与する苦情ならば、その方の上司へ報告ルートを変更してください。迅速な報告こそが、派遣社員を救い、会社を守る生命線となります。

3.派遣会社へ連絡・報告する

派遣元への報告は、苦情を受けた当日中に完了してください。一日でも遅れれば、派遣社員は「この会社は何もしてくれない」と絶望し、SNSなどで拡散するか労働局へ駆け込む可能性があります。

日時・場所・関係者名・苦情内容を箇条書きでメールし、証拠を残しておいてください。指揮命令者が関与する苦情なら、必ずその旨を明記します。派遣元との連携が遅れれば、問題は手の付けられない規模に拡大します。当日報告を徹底してください。

4.派遣社員へのフォローアップを行う

苦情対応後、派遣社員への継続的なフォローアップは必須です。フォローを怠れば、二次被害が発生し新たな労働局通報を招きます。1週間以内に不利益な扱いがないか、精神的負担が増えていないか直接確認してください。

特にハラスメント苦情では、心のケアと安全確保を最優先にします。指揮命令者が加害者なら配置転換後も月1回面談してください。継続的に寄り添う姿勢が、問題の再発を防ぎ、職場環境の改善につながります。

5.派遣先管理台帳へ記載する

苦情を処理したら、当日中に派遣先管理台帳へ記載してください。記載漏れがある場合、労働局から是正指導を受ける可能性があります。苦情申出日、内容、講じた措置を具体的に記録します。

指揮命令者が関与する苦情なら、氏名と部署も明記してください。記録は後の監査で証拠となり、適切な対応の証明になります。

以下に実際の記載例を示しますので、明日からの実務にお役立てください。

【記載例】
申出日:12/10
内容:指揮命令者A課長が契約外の資料作成を指示
措置:即日指示中止、派遣元と契約再確認

派遣の苦情を未然に防ぐ指揮命令のポイント

派遣社員からの苦情を未然に防ぐには、指揮命令者による日頃の適切な対応が重要です。契約内容を正確に把握し、業務範囲を超えた指示を出さないよう注意しましょう。

また、定期的なコミュニケーションを通じて派遣社員の状況を把握し、不安や疑問が生じた際には速やかに対応します。事業所ごとに選任が義務付けられている派遣先苦情申出先担当者は、派遣社員が安心して苦情を申出られる環境を整備する役割を担います。

この担当者の存在を派遣社員に周知し、相談しやすい体制を整えれば、トラブルの予防につながります。

【まとめ】派遣の苦情例と対応方法を理解してトラブルを防ぐ

派遣の苦情は、契約違反、ハラスメント、福利厚生の3つに集約されます。対応を誤れば、労働局通報や派遣契約解除につながる可能性があります。苦情を受けたら、当日中に受付・報告・派遣元への連絡を完了してください。

フォローアップと台帳記載まで徹底すれば、会社を守れます。最も重要なのは予防です。指揮命令者に契約範囲を守らせ、月1回の契約確認を習慣化してください。明日から実践して、トラブルのない職場をつくりましょう。

メタディスクリプション
派遣先苦情申出先担当者の役割が分からず困っていませんか?制度の基礎、苦情処理の流れ、よくある例、台帳記載例などを中小企業向けに実践解説。指揮命令トラブル対応も含め明日から使えます。

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