組織に属さず働くフリーランスを保護する「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」(フリーランス新法)について、「就業環境整備」に関する政省令・指針を議論している厚生労働省の有識者検討会(鎌田耕一座長)は2月下旬、方向性の細部を固めました。近く、厚労省が骨子案を提示して報告書を取りまとめます。新法の「取り引き適正化」に連なる政省令については、公正取引委員会の所管で1月19日に報告書が策定されており(下記、資料参照)、厚労省と公取委、中小企業庁にまたがる「フリーランス新法」は、運用に向けて全体像が整ってきました。
新法の骨子はもっぱら、事業を発注する側の「特定業務委託事業者」の規制を強め、受注側の「特定受託事業者」が不利にならない内容にした点が特徴です。具体的には、発注者に対して業務内容や報酬などの契約明示を義務づけたほか、報酬を相場より著しく低く設定したり、契約後に不当に減額したりすることも禁止。報酬の支払い時期を、”製品”を受け取った日から60日以内とすることも義務化しています。
また、フリーランス側が出産、育児、介護と両立したい場合は、必要な配慮。各種ハラスメントに対応する相談窓口などを整備します。契約を中途解除する場合は30日前までに予告。募集広告などでの虚偽表示を禁止するなど、「雇用者」に適用される内容も一部に盛り込んでいます。発注側がこれらに違反した場合、フリーランス側は国の相談機関に相談でき、国は違反行為に対して指導や勧告などを行うことができます。命令に従わない場合は50万円以下の罰金を科すことにしています。
この日の検討会では、政省令・指針として「募集情報の的確表示」「虚偽表示の禁止」「誤解を生じさせる表示の禁止」「最新の表示義務」などを明記。2022年10月施行の改正職業安定法でも示された「適格表示」が踏襲されている内容です。今回の新法は、多様な働き方の環境整備を大きく前進させる動きとして注目が集まっています。
関係資料は以下の通りです(厚労省ホームページより)。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_37930.html
公正取引委員会の「取り引き適正化」に関する報告書
https://www.jftc.go.jp/houdou/pressrelease/2024/jan/240119_1_fl_report.html
提供:アドバンスニュース
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