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在留外国人、過去最多の296万人 コロナ禍に伴う減少から一転

日本に在留資格を持つ外国人は、今年6月末時点で296万1969人に達し、過去最多となりました。出入国在留管理庁によると、去年12月末から7.3%、20万1334人増えたことになります。コロナ禍の影響で続いてきた減少傾向に歯止めがかかり、再び300万人突破の流れが現実味を帯びてきました。一転して最多となった要因は、新型コロナで本国に戻れず、在留資格を延長した人たちに加え、1日あたりの入国者数の上限引き上げで留学生が予定より多く入国したことなどが挙げられます。こうした動きを踏まえ、政府は「外国人材の受入れ・共生のための総合的対応策」を掲げ、ソフトとハードの両面から共生社会の実現に本腰を入れる構えです。

在留資格別にみると、原則10年以上継続して生活している「永住者」が84万5693人(構成比28.6%、昨年末比1.7%増)で最多。このほか「技能実習」が32万7689人(同11.1%、同18.7%増)、「技術・人文知識・国際業務(技人国)」が30万45人(同10.1%、同9.2%増)、「留学」が26万767人(同8.8%、同25.5%増)となっており、コロナ禍の影響で減少が著しかった「技能実習」「技人国」「留学」が大きく盛り返してきた格好です。

国籍別で最も多かったのは中国の74万4551人(昨年末比3.9%増)で、構成比は全体の25.1%を占めました。次いで、ベトナムの47万6346人(同10.0%増)で構成比16.1%。昨年、ベトナムに抜かれた韓国は41万2340人(同0.6%増)で13.9%です。

都道府県別にみると、東京都の56万6525人(同6.7%増)をトップに、愛知県、大阪府、神奈川県、埼玉県、千葉県など大都市圏が続きました。この上位6都府県で全体の58.4%を占めます。

「特定技能」「技能実習」の見直し議論、政府で議論活発

就労目的の外国人受け入れ拡大を狙い、人手不足の深刻な14業種に定めている「特定技能」について、政府は在留期限の緩和を進めます。「特定技能」は、「技能実習」経験者からの“移行組”を視野にしている制度で、施行3年で見直しすることが決まっていました。このスキームに沿った見直しですが、実質「永住」を認める業種を広げる考えです。

緩和策の一環として、政府は「特定技能」の対象となる14業種について、製造業の3分野(素形材産業・産業機械製造業・電気・電子情報関連産業)を統合して12分野に再編。このほか、新型コロナによる労働需要の変化に対応するため、受け入れる外国人の上限数を業種ごとに見直す方針です。12業種のうち、業界のニーズが拡大している飲食料品製造業と製造業の2業種に外国人材を集中させ、逆に外食業など9業種の受け入れ上限を引き下げる考えです。

こうした動きと同時に法務省と厚労省は、目的と実態の乖離が指摘される「技能実習」について、「特定技能への一本化」も選択肢に含んだ大胆な議論を始めています。さまざまな業界団体などからヒアリングする「特定技能制度・技能実習制度に係る勉強会」は一巡し、今後、閣僚会議の下に有識者会議を設置して具体的な検討を進める方針です。

提供:アドバンスニュース

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