IT技術の発展やテレワークなどの新しい働き方の普及と同時に、従業員のスキルを戦略的に向上させる「リスキリング」が注目されています。
「言葉の定義はわかるけど、実際何をしたらいいの?」
「リスキリングって、結局はIT教育でしょ?」
このようにお悩みの人事部の方も多いでしょう。
今回は、実際に企業は何を・どうリスキルしていくべきかに焦点を当てて、リスキリングを解説します。
今まさにリスキリングの導入を検討されている人事部や経営層の方は、自社導入の参考にしてください。
<目次>
■すべての企業でリスキリング施策が必須
■学び直すべきスキルとは
1.DX・ITスキル
2.語学力
3.マネジメントスキル
■自社でリスキリング施策を実施する方法・手順
1.経営戦略から逆算して必要な人材像・スキルを洗い出す
2.リスキリングの手法を決定する
3.従業員への啓もう活動を行う
4.リスキリングの実施
5.効果測定
■企業は経営課題としてリスキリングに取り組む必要がある
すべての企業でリスキリング施策が必須
リスキリングは、事業規模や業種にかかわらず、すべての企業が取り組むべき課題です。
理由は以下3つです。
1.IT技術やビジネスのDX化が急激に進展し、対応できない企業は市場価値を生み出せない危険性が高い
2.労働人口の低下に伴い、少ない人数でパフォーマンスを上げられるよう、継続したスキルアップが必須
3.ビジネスのグローバル化やテレワークの普及などにより、従業員に求められるスキルが変化している
社会の変化に合わせて柔軟に対応していけるスキルの習得が、企業にも従業員にも求められています。
学び直すべきスキルとは
リスキリングは、DXやITスキルの学び直しと同義に語られる場合があります。
しかし企業におけるリスキリングの本質は、「事業の継続的な発展に必要なスキルの戦略的な習得」です。
単にITスキルを身に着ければよいのではなく、自社の経営戦略を実現させるために必要なスキルを見極めたリスキリングが大切です。
具体的に学び直すべき代表的なスキルを紹介します。
1.DX・ITスキル
ビジネスモデルがIT化・DX化していく中で、デジタルスキルを保有しない企業は淘汰されていく危険性があります。
従業員のDX化は、イノベイティブで生産性の高い業務を遂行するために重要です。
また、AI技術の普及などにより、多くの業務が自動化・効率化されています。
DXスキルを身に着けられなければ、技術的失業に追い込まれる危険性が高く、リスキリングが必須です。
2.語学力
ビジネス環境のグローバル化が加速していく中で、従業員の語学力の習得は、事業拡大や生き残りをかけて重要です。
単に語学力を上げるだけでなく、異文化理解やダイバシティについても同時に学ぶ必要があるでしょう。
国際的に活躍できるスキルとマインドの両面で、学び直しが求められます。
3.マネジメントスキル
人々の働き方や労働に関する価値観が多様化しています。
管理職には、離れて仕事をする方、国籍や文化の違う方、さまざまな雇用形態の方などをマネジメントするスキルが必要です。
多様な人材と共通の目的に向けて、業務を遂行するためのリーダーシップと、高いコミュニケーション能力の習得が必須といえるでしょう。
自社でリスキリング施策を実施する方法・手順
実際に企業でリスキリングを実施する際には、今の業務に必要なスキルだけでなく、企業は将来的に必要なスキルを戦略的・計画的に身に着ける必要があります。
具体的なリスキリング施策の実施手順を確認しましょう。
1.経営戦略から逆算して必要な人材像・スキルを洗い出す
まずは、自社の目的や経営戦略から逆算して、必要な人材像を明確にし、求めるスキルを洗い出します。
例えば、国内市場から世界市場に乗り出す企業の場合、高い語学力と海外でも交渉できるタフネスが必要です。
このように、今後の事業展開に必要なスキルから、リスキリングの内容を検討・決定しましょう。
いつまでに、どんなスキルを持った人材が、どこにどれくらい必要かを明確にして計画してください。
2.リスキリングの手法を決定する
必要なスキルを習得した人材を確保するために、具体的なリスキリング方法を決定します。
知識のインプットで十分なものから、実践的な体験が必要なものまで、性質に合わせた学習方法の選定が必要です。
社内リソースだけに頼るのではなく、スキル習得を支援する最適な外部資源の活用も検討しましょう。
3.従業員への啓もう活動を行う
リスキリングには、企業側の熱意だけでなく、従業員の学ぶ意欲が必須です。
なぜ今リスキリングに取り組むのか、学ぶスキルが企業や本人にとってどのように有益なのかを共有し、従業員に必要性ややりがいを理解してもらいます。
期間ごとにスキル習得のゴールを設定し、成長を実感できるようなモチベーション施策も重要です。
4.リスキリングの実施
リスキリング計画に沿って、実際のスキル習得をスタートします。
企業におけるリスキリングは、ただ知識を増やすだけでなく、最終的には事業の発展に貢献する必要があります。
そのため、学びを実務で活用できる場を用意したり、試験的な実践プロジェクトを立ち上げたりして、学びと実践を結びつける施策が有効です。
5.効果測定
リスキリングがスタートしたら、計画通りにスキル習得が進んでいるか、効果測定します。
習得度合いの把握や評価につなげるため、学習歴などが把握しやすいeラーニングを活用するなど、スキルを定量的に測定する工夫をしましょう。
また、従業員の保有スキルデータなどを一元管理できる仕組みを構築すると、その後の配置・昇格などの検討時に有用です。
企業は経営課題としてリスキリングに取り組む必要がある
リスキリングは単なる従業員のスキルアップではなく、企業が目的を実現し、困難な時代で生き残っていくために必須の経営戦略です。
自社の目標を再考し、事業の推進に必要なスキルの洗い出しと、実際の教育体制の構築を進めましょう。
すでに多くの企業がリスキリング施策を実施しています。
市場競争に生き残っていくために、一刻も早い対策が必要です。
Q1.リスキリングとリカレントは何が違うのですか?
リスキリングとは、就労しながら必要なスキルを獲得する/させる社内教育です。
企業が従業員に対して、戦略的に実施します。
リカレントは、仕事を離れて大学などの教育機関で学び直す社外教育です。
個人が自分のキャリアを戦略的に考えて実施します。
Q2.普段の業務の中でOJTとして取り組めば十分ではないです
人材戦略としてのリスキリングは、OJTだけでは不十分です。
リスキリングは、今の業務の延長線上のスキル習得ではなく、これまでと異なる「非連続系」のスキル習得です。
業務の中での学びとは分けて対策する必要があります。
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