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労基法の見直し検討、有識者テーブル「第2弾」 焦点は「労働時間制度」など

厚生労働省は1月23日、多様化する働き方に対応した労働基準法の見直しなどを検討する有識者会議を立ち上げました。昨年10月、経済学者らによる「新しい時代の働き方に関する研究会」の報告書を踏まえた動きで、公労使で構成する労働政策審議会の議論にのせる“前段”となるテーブル。「第2弾」となる研究会は法律の専門家らで構成され、現在の労働時間の通算に関する規定など「労働時間制度」全般のあり方が焦点となる見通しです。

同会議体の正式名称は、「労働基準関係法制研究会」。委員は、荒木尚志氏(東大大学院法学政治学研究科教授)、水島郁子氏(阪大理事・副学長)、水町勇一郎氏(東大社会科学研究所比較現代法部門教授)、山川隆一氏(明大法学部教授)ら10人が務めます。主に、今後の労働基準関係法制の法的論点整理と、働き方改革関連法の施行5年を踏まえた労基法などの見直しについて約1年かけて議論を深めます。

労基法の見直しを巡っては昨年3月、主に経済学者や企業人事らの専門家をメンバーとした有識者研究会が設置され、同10月に報告書を取りまとめました。労働者の心身の健康を「守る」「支える」を基軸としつつ、「新しい働き方に対応した労働時間制度の柔軟化を求める声もあり、時代に合わせた見直しが必要」と指摘。多面的な角度から考察し、労使コミュニケーションの確保やシンプルで分かりやすい実効的な制度などを提言しています。この報告書について厚労省は、「大きな方向性と考え方を示したもの。働き方改革関連法の施行5年の見直しのタイミングと併せ、より具体的な法制度を含めた研究を進めたい」との考えを示していました。

初会合では、厚労省が議論の資料となる「労働基準に関する諸制度」「人口構造、労働時間等」「労働時間制度等に関するアンケート調査結果」などを説明。委員からは「働時間制度に関しては、デジタル技術の進展を踏まえた健康確保のあり方や、年度途中に休業・休職を開始または復帰する労働者の年次有給休暇取得義務、兼業・副業における割増賃金の労働時間通算規制のあり方などを検討すべきである」などの意見が挙がりました。

「労働時間制度」のあり方を巡っては、労働組合の連合が「労基法を見直さなくても働く人の多様な希望に応えることは十分に可能。法律が定める最低基準を外す新たな例外が検討されるのではないか」などと警戒。一方、経団連は「働く場所や時間なども自由に選択したいという意識が高まっている。法律による画一的な規制や取り決めは働く人の自由度を狭めている」など、弾力的な見直しを求めています。

政府は、リスキリング・賃上げ・労働移動の「三位一体の労働市場改革」と並行して、「副業・兼業の推進」にも力を入れていますが、労基法の労働時間の通算に関する規定などが柔軟な働き方の妨げとなっているとの見方もあり、今回立ち上げた研究会の議論を丁寧に進めていく方針です。

研究会の資料は以下の通りです(厚労省ホームページより)。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_37490.html

提供:アドバンスニュース

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