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【2023年4月施行:育児休業の取得状況の公表義務】制度概要と必要な対策とは

育児・介護休業法の改定により、2023年4月より一部の大企業を対象として、育児休業等の取得状況を年に1回公表することが義務付けられるようになります。この取得率公表に関する制度は、公表が義務付けられる2023年4月より前から改定に向けた対応を始めなければなりません。

義務化の対象となる従業員数1,000人超の企業や大学の労務担当の皆さま、制度概要と必要な対策を確認することで、2023年4月の法改正に正確に対処するようにしましょう。

<目次>
育児休業の取得状況公表義務とは?
公表義務の対象事業者
公表内容と公表方法
公表開始時期と公表対象期間
育児休業の取得状況公表に向けて必要な取り組み
自社の公表対象期間の確認
育児休業の対象者の把握
育児休業を取得しやすい環境整備
育児休業の取得状況の公表
育児休業の取得状況公表の義務をきっかけに働きやすい職場づくりを!

育児休業の取得状況公表義務とは?

令和3年(2021年)6月に改訂された育児・介護休業法は、令和4(2022年)年4月より段階的に施行されます。

今回は改正内容の1つである「育児休業の取得状況の公表の義務化」についてご紹介します。

公表義務の対象事業者

育児状況の公表の義務化の対象となるのは、従業員数1,000人超の企業や大学です。

これまで、育児状況の公表は子育てサポート企業「くるみん認定企業」にのみ義務が課せられていました。
「くるみん認定企業」とは、子育てサポート企業として一定の基準を満たしていることを、厚生労働大臣によって認定された企業です。
今後はくるみん認定をされていない企業でも、従業員規模が該当する場合には公表義務の対象になります。

公表内容と公表方法

対象企業が公表すべき内容は、以下のうちいずれか1つです。

● 育児休業等の取得率
● 育児休業等と育児目的休暇の取得率

いずれも男性の育児休業に関する取得率を公表します。公表方法は「インターネットの利用その他適切な方法」と定められています。
具体的な公表方法については、「育児休業の取得状況の公表」の項目でご紹介します。

公表開始時期と公表対象期間

対象事業者に対して育児状況の公表が義務付けられるのは、令和5年(2023年)4月からです。
そして、公表すべき育児状況の期間は、「公表前事業年度(=公表を行う日の属する事業年度の直前の事業年度)」とされています。

例えば3月末が決算期の企業においては、2022年4月から2023年3月までの期間における育児状況を、2023年4月に公表する必要があります。
ただし、実際の公表時期は公表前事業年度の終了から概ね3か月以内です。先ほどの例であれば、2023年6月までに公表しなければなりません。

育児休業の取得状況公表に向けて必要な取り組み

育児状況の公表義務化の概要について、ご紹介しました。
ここからは、実際に自社において必要な取り組みについてご説明します。
自社に必要な取り組みを理解し、実際のアクションにつなげていきましょう。

自社の公表対象期間の確認

まずは、「自社の公表対象期間=公表前事業年度」の確認をしましょう。

公表対象期間は前述した通り、公表を行う日の属する事業年度の直前の事業年度です。
事業年度は企業ごとにさまざまなので、自社の事業年度に合わせて、2023年度に育児状況を公表すべき期間を確認してください。

育児休業の対象者の把握

自社の公表前事業年度の確認後は、その期間内に公表の対象となる従業員を把握しましょう。

対象となる従業員は、公表する内容により異なります。

1. 育児休業等の取得率を公表する場合
a. 男性労働者であって、配偶者が出産したもの
b. 男性労働者で育児休業等を取得したもの

2. 育児休業等と育児目的休暇の取得率を公表する場合
a. 男性労働者であって、配偶者が出産したもの
b. 男性労働者であって、育児休業等を取得したものおよび育児を目的とした休暇制度を利用したもの

自社が公表する内容を決定したうえで、上記の対象者数を把握するようにしましょう。

育児休業を取得しやすい環境整備

併せて、従業員が育児休業を取得しやすい環境整備に努めることも大切です。

育児・介護休業法が改訂された目的は、従業員が子を出産したり、小さな子を養育したりしていても、就業し続けられる環境の整備です。

法律で定められている最低限度の施策を実施することはもちろん、自社の事業内容や業務内容を鑑みて、従業員が容易に育児休業取得できるように、制度や風土の改善に努めましょう。

育児休業の取得状況の公表

公表義務が発生する時期になったら、実際に育児休業の取得状況を公表しましょう。
公表する方法はインターネット等とされています。公表する際は、次のいずれかのプラットフォームを利用しましょう。

● 自社のホームページ
● 厚生労働省が運営するウェブサイト「両立支援のひろば」

また、自社の高い育児休業の取得状況を積極的にアピールしたい場合は、プレスリリースとして公表すると効果的です。

育児休業の取得状況公表の義務をきっかけに働きやすい職場づくりを!

今回は、2023年4月に施行される育児休業の取得状況公表義務についてご紹介しました。
施行までには期間がありますが、公表すべき期間は前事業年度が対象となるため、今から対象者の把握が必要です。
適切に取得状況を公表すると同時に、従業員が更に育児と家庭の両立が図れる職場作りを積極的に進めていきましょう。

Q1.対象企業の規模要件である「従業員1,000人超」の捉え方を教えてください。
従業員1,000人超とは、「常態として1,000人を超えること」を意味します。
つまり、従業員の退職が重なって一時的に1,000人未満になることがあったとしても、通常1,000人を超えている企業であれば対象になります。

Q2.今回の法改正に違反した場合、どうなりますか?
本件は、育児・介護休業法の改正です。
育児・介護休業法に違反した場合、行政から報告を求められるようになります。
それでも従わないときは、行政からの助言や勧告を受けるケースもあります。
さらに悪質な場合には企業名が公表されたり、最大20万円の過料処分が課されます。

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