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【2025年】定年延長が高年齢雇用継続給付に与える影響を徹底解説

健康寿命の延伸や労働力人口の減少に伴い、60歳以降も働き続ける方の数が増えています。
国ではあらゆる制度改正を行い、高年齢者の雇用を支援してきました。

今注目されているのが、高年齢雇用継続給付の給付額縮小と、定年延長です。
2025年以降、高齢の従業員を雇用する企業には影響のある法改正ですので、必ずチェックしてください。

<目次>
■定年延長により高年齢雇用継続給付が縮小される!
■高年齢雇用継続給付とは
①高年齢雇用継続基本給付金
②高年齢再就職給付金
■2025年から高年齢雇用継続給付が変わる!?
①高年齢雇用継続基本給付金の支給額が縮小される
②将来的には高年齢雇用継続給付が廃止される
■高年齢雇用継続給付の縮小に対して企業が取るべき対応
①給付に頼らない賃金制度の見直し
②年齢によらない処遇の検討
■高年齢の従業員の働き方と処遇の見直しを!
Q&A

定年延長により高年齢雇用継続給付が縮小される!

高年齢雇用継続給付が縮小される背景として、定年延長など60歳を過ぎても雇用を継続できる体制が企業に整ってきています。

例えば、希望者に対して65歳までの安定した雇用確保を義務付けた「高年齢者雇用確保措置」や、70歳までの就業確保を努めるよう求める「高年齢者就業確保措置」などが代表的です。

まだ定年の最低年齢65歳の義務化には至っていませんが、長く働き続けられる体制が企業に求められてきました。

この流れにともない、高年齢者の雇用を促進する目的で実施されてきた「高年齢雇用継続給付」の縮小が決定しています。

高年齢雇用継続給付とは

高年齢雇用継続給付は、雇用保険の「雇用継続給付」の一種です。

雇用継続給付は、従業員が高齢になったり、家族の介護が必要になったりした場合でも、継続して就業し続けられるよう、支援する制度です。

高年齢雇用継続給付は、高年齢者の就労意欲の維持、65歳までの雇用援助などを目的に実施されており、「高年齢雇用継続基本給付金」「高年齢再就職給付金」の2種類にわかれます。

それぞれの概要を簡単にご紹介しましょう。

①高年齢雇用継続基本給付金

高年齢雇用継続基本給付金は、60歳以上65歳未満の雇用保険被保険者の方が対象です。

賃金が60歳到達時点と比較して75%未満になった場合、低下した割合に応じた給付を受給できます。受給額は、最大で賃金の15%です。

60歳を機に嘱託社員などになり、給与が減額される企業は珍しくありません。企業が支給する給与が減っても、雇用を継続し、生活の安定を図る制度です。

②高年齢再就職給付金

60歳以上の方が再就職して雇用保険の一般被保険者となった場合、一定の条件を満たすと「高年齢再就職給付金」が支給されます。

一定の条件とは、以下の通りです。

● 基本手当(いわゆる失業手当)を受給していた
● 基本手当を100日分以上残して再就職した
● 離職前の被保険者であった期間が5年以上あった

高年齢再就職給付金は、基本手当のもらい残し分を支給してもらえる制度とイメージするとよいでしょう。

2025年から高年齢雇用継続給付が変わる!

2025年からの制度変更により、高年齢雇用継続基本給付の縮小が決定しています。
以下概要をご覧ください。

①高年齢雇用継続基本給付金の支給額が縮小される

1つ目の変更点として、2025年から高年齢雇用継続基本給付金の最大支給額が15%から10%に縮小します。

つまり、被保険者自身の処遇に変更がなくても、高年齢雇用継続基本給付金で受け取れる給付金額が大幅に削減される内容です。

制度創設当時は最大で25%支給されていましたが、段階的に縮小されていることから、雇用保険の支給ではなく、企業からの以前と変わらない給与が求められています。

②将来的には高年齢雇用継続給付が廃止される

高年齢雇用継続給付の制度については、最終的に廃止されると決まっています。

雇用保険による支援に頼らない、企業による安定した高年齢者の雇用がいよいよ必須になるといえるでしょう。

高年齢雇用継続給付の縮小に対して企業が取るべき対応

高年齢雇用継続基本給付金の縮小により、高年齢者を雇用する企業には対策が必要です。
特に、高年齢雇用継続基本給付金による給付を「60歳到達によって減少した給与の補填」と捉えていた企業にとっては、対応が必須といえます。

企業が取るべき対応を、2つご紹介しましょう。

①給付に頼らない賃金制度の見直し

まず、雇用継続基本給付金に頼らない賃金制度への見直しを検討しましょう。

高年齢者を雇用する企業の中には、雇用保険による給付を頼りに、60歳以上の従業員の給与額を低く設定している場合が多くあります。
給付縮小により労働者が受け取る収入の総額が減れば、生活が苦しくなり、同条件で働き続けられなくなる可能性があります。

将来的な制度廃止を見越して、今から給付に頼らない賃金設定へ見直す必要があるでしょう。

②年齢によらない処遇の検討

2つ目として、年齢を基準とした処遇制度の見直しも大切です。

同一労働同一賃金の流れの中で、そもそも年齢を理由に賃金を低減させる制度自体を見直す時期にきているといえるでしょう。
今注目されている「ジョブ型雇用」など、成果を出す従業員が、年齢にかかわらず処遇される制度を検討する必要があります。

高年齢の従業員の働き方と処遇の見直しを!

定年延長に向けての動きや、高年齢雇用継続給付の廃止などの動向をみると、高年齢であっても実力を生かし、平等な処遇を受けて働き続ける社会が支持されてきているとわかります。

2025年の法律改定をきっかけに、自社の高年齢者の働き方や処遇の見直しを推し進めましょう。

Q1.高年齢雇用継続基本給付金の申請は企業が行うのですか?
基本的には、企業側が申請します。
被保険者(従業員)から提示された申請書に、企業が賃金額等を入力してハローワークに提出します。
原則として2か月ごとに支給申請書を提出する必要があるので、注意しましょう。

Q2.高齢者雇用に関して、助言をしてくれる公的機関はありますか?
高齢・障害・求職者雇用支援機構が実施する「65歳超雇用推進プランナー」「高年齢者雇用アドバイザー」という制度があります。

各企業の実情にあわせて、専門家が定年制度や継続雇用制度の提案やアドバイスをしてくれます。
全国の都道府県支部に窓口が設置されていますので問い合わせてみると良いでしょう。

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