社会保険労務士法人 ユアサイド代表社員 社労士 中宮 伸二郎氏 キャリアパワー開催セミナーより一部抜粋
2023年4月1日から、全ての企業で月間60時間を超える時間外労働に対する割増賃金率が、1.5倍となりました。60時間を超える時間外労働に対する割増賃金率を引き上げるだけではなく、割増賃金の代わりに休暇を与える代替休暇制度も同時に適用されることになります。
対象となる時間外労働
1.5倍の対象となる時間外労働に休日労働は含まれません。法定労働時間(週40時間、1日8時間)を超える労働だけが対象となります。休日労働の割増賃金は、従来通り1.35倍となります。
なお、休日労働を合算して管理しなければならない事項は、以下の3種類です。
・月間100時間以内とすること
・2か月から6か月平均80時間以内とすること
・安全衛生法の長時間労働者への医師の面接指導
計算期間が4月1日をまたぐ場合
「1か月」の起算日は、企業が定めるなければなりません。一般的には、賃金計算期間もしくは、36協定の起算日とします。
賃金計算期間が16日起算翌月15日締切の場合、施行日である4月1日をまたぎます。この場合、4月1日以降の時間外労働だけが1.5倍の対象となります。
例1 3月16日―3月31日 時間外 30時間
4月1日―4月15日 時間外 40時間
3月16日から1か月間の時間外労働は70時間ですが、4月1日以降の時間外は40時間のため、1.5倍の支払いは不要です。
例2 3月16日―3月31日 時間外 8時間
4月1日―4月15日 時間外 62時間
4月1日以降の時間外労働が60時間を超えるため、2時間に対して1.5倍の割増賃金を支払う必要があります。
代替休暇
1ヶ月60時間を超える法定時間外労働に対し、1.5倍の割増賃金の代わりに休暇を与えることができる制度です。代替休暇は1日または半日単位で取得させることができます。
代替休暇を与える場合でも1.25倍の割増賃金は、支払わなければなりません。1.5倍と1.25倍の差分を時間換算して休暇とすることが認められています。
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