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フリーランス、短時間パートの社会保険 適用拡大へ法整備

フリーランスに対する労災保険の適用、短時間労働者に対する雇用保険の適用拡大など、これまで社会保険の適用外だった労働者の適用拡大の動きが活発化しています。労働人口の減少で、新しい就労形態が急速に伸びており、「男性正社員中心主義」を前提に成り立っていた旧来の労働者保護制度では対応できないことが背景にあります。

フリーランスは企業などに雇用される労働者ではなく、独立した事業主という法的位置づけのため、労働基準法などの保護を受けられない立場です。政府が2020年に実施した調査によると、国内のフリーランス人口は約462万人、そのうち企業の業務委託を受けて働く人は6割の約273万人と推計されています。462万人という数字はアルバイトの489万人(総務省の労働力調査)に並ぶ規模です。

現在、労災保険の対象となるフリーランスは、実質的に企業に雇用されているとみなされる「配達員」など一部業種に限定されており、現在の加入者は70万人程度。これを今後は「営業」「講師」「記事執筆」など、業務委託されて働く全業種のフリーランスが加入できるように拡大するものです。

保険料率は現行の収入額の0.3%で、加入は任意です。11月下旬に開かれた労働政策審議会の労災保険部会で、厚生労働省が拡大方針を示し、了承されました。厚労省は省令を改正し、来年秋の運用開始を目指します。加入すれば月数百円〜数千円の保険料で就労中にケガをしても給付が受けられますが、自己負担を嫌うフリーランスも多いため、どれくらいの加入になるかは未知数です。

フリーランスを巡っては今年4月、「フリーランス新法」が成立し、業務委託する企業側に報酬額の明示や一方的な報酬減額の禁止などを義務づけました。合わせて、国会付帯決議では「疾病、障害、死亡、廃業などのライフリスク対策について検討する」(衆議院)、「労災保険の特別加入制度について、希望する全ての特定受託事業者が加入できるよう対象範囲を拡大する」(参議院)と対象の拡大を求めていました。

一方、政府は雇用保険の加入要件である労働時間を現行の「週20時間以上」から「週10時間以上」に緩和します。パートなど短時間労働者で最大約500万人の加入が見込まれます。国会審議を経て、28年度の実施を目指しています。政府の「次元の異なる少子化対策」の一環となります。

提供:アドバンスニュース

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