「技能実習」に代わる「育成就労」創設や永住許可の適正化を柱とする出入国管理・難民認定法と技能実習適正化法の改正案が、4月16日の衆院本会議で審議入りしました。実態として労働力確保に利用され、国際社会から人道的な批判もあった技能実習制度を廃止し、外国人材の「確保と育成」を目的とする実態に即した制度に転換。法案が成立すれば公布後3年以内の施行となり、新制度は2027年の運用開始が見込まれます。
法案によると、新設する在留資格「育成就労」の対象分野(職種)は、19年に創設した「特定技能」に合わせて移行しやすい流れをつくり、中長期的な就労につなげたい考えです。焦点となっている「転籍(転職)」を制限する期間は、当面の間、分野ごとに就労開始から「1~2年の範囲」とします。技能実習制度で外国人の受け入れと企業の仲介を担ってきた監理団体は、「監理支援機関」に名称変更して外部監査を強化。併せて、問題のある外国人や悪質な受け入れ先を排除するため、故意に納税や社会保険料の納付を怠った外国人の永住許可を取り消すことができるほか、違法に雇う雇用主の「不法就労助長罪」を厳罰化する方針です。
衆院本会議では、小泉龍司法相が改正法案の趣旨を説明した後、与野党5議員が代表質問に立ちました。このなかで、「転籍について民間職業紹介事業者を関与させないとした狙いは」との質問に、小泉法相は「制度の目的が阻害されるような人材の過度な引き抜きが生じないよう、当分の間、民間事業者の関与は認めない」と答弁。また、永住許可制度の厳格化の目的について岸田首相は「一部において永住許可後に法的義務を履行しなくなるケースが指摘されており、これを容認すれば適正に公的義務を履行する永住者や、地域住民との間で不公平感を助長する恐れがある」としたうえで、「外国人と日本人が互いに尊重して生活できる共生社会を実現するため、永住許可制度の適正化を進める」と述べました。
このほか、「育成就労制度への急激な変化が技能実習生として在留している外国人や関係者に不利益や悪影響を与えないか」との問いに、小泉法相は「現行制度を利用している関係者に不利益が生じないよう、十分な移行期間を確保するとともに、育成就労制度の施行後も一定の期間は技能実習を行うことを認めている」と説明しました。
改正法案は衆院法務委員会に場所を移して本格審議を進め、可決すれば参議院に送られます。
提供:アドバンスニュース
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