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外国人派遣について知りたい方へ|リスクと手続き・注意点を徹底解説

<目次>
導入文
外国人派遣とは|人手不足時代の選択肢
 1.人材不足の即時解消
 2.スキルの多様化による生産性の向上
外国人の派遣登用で注意したいリスク
 1.法律違反リスク(資格外活動・不適正派遣)
 2.言語・文化ギャップによる現場混乱
外国人を派遣雇用する際に必要な手続き
 1.在留資格の確認(在留カードの写し取得)
 2.外国人雇用状況の届出の提出
 3.派遣終了後の退職証明書発行
まとめ 外国人派遣では正しい知識と準備が成功のカギ

導入文

近年、外国人の派遣受け入れが多くの企業で注目されています。

国内の労働力人口が減少するなか、人手不足の解消は喫緊の課題です。
こうした背景から、多様な業務を担う即戦力として外国人材を派遣で受け入れる動きが加速しています。

一方で、外国人派遣には注意すべき点も多く、適切な対応が不可欠です。

本記事では、外国人派遣のリスクや手続き、注意点を実務の視点から解説します。
外国人の派遣導入を検討中の人事担当者の方は、ぜひご覧ください。

外国人派遣とは|人手不足時代の選択肢

外国人を派遣で受け入れる動きが広がっている理由は、以下の通りです。

● 人材不足の即時解消
● スキルの多様化による生産性の向上

それぞれの特長について、順にみていきましょう。

1.人材不足の即時解消

外国人派遣は、慢性的な人材不足に悩む現場で、即戦力を柔軟に確保できる有効な手段です。

高齢化や若年層の労働離れが進むなか、特に製造・サービス業を中心に国内人材の確保が難しくなっています。
そのため、語学力や専門技術を持つ外国人材への期待が高まっています。

厚生労働省の発表によれば、令和6年10月時点で外国人労働者数は2,302,587人にのぼり、過去最多を更新しました。
また外国人を雇用する事業所も342,087か所に達し、年々増え続けています。

派遣であれば、繁忙期や突発的な欠員などにも柔軟に対応でき、採用にかかる時間も軽減可能です。

厚生労働省|「外国人雇用状況」の届出状況まとめ

2.スキルの多様化による生産性の向上

外国人派遣は、人手を補うだけでなく、職場のスキルと視野を広げる力があります。
語学力や専門知識を持つ人材が加わると、業務効率や品質の向上にもつながります。

外国人派遣が進んでいる業種は、以下の通りです。

特に製造業では全体の26.0%を外国人が占めており、多様な技能や視点が生産性の向上に貢献しています。
外国人派遣を活用すれば、現場の柔軟性と競争力を高められます。

厚生労働省|「外国人雇用状況」の届出状況まとめ

外国人の派遣登用で注意したいリスク

外国人を派遣で受け入れる際には、メリットだけでなくリスクへの理解も欠かせません。
制度や運用に関する誤解があると、企業側にとって法的・実務的なトラブルにつながるリスクがあります。
特に注意すべきは、以下の2点です。

● 法律違反リスク(資格外活動・不適正派遣)
● 言語・文化ギャップによる現場混乱

いずれも事前の知識と体制づくりで回避できます。
以下では、それぞれのリスクについて具体的にみていきましょう。

1.法律違反リスク(資格外活動・不適正派遣)

外国人を派遣で雇用する場合は、法令違反のリスクに注意が必要です。
在留資格によっては、派遣先での就労が認められていないケースもあります。
認められていない業務を行わせれば、行政からの指導対象です。

例えば、通訳として在留している人に倉庫作業を担当させた場合、違反に該当します。
また、契約内容を明示しないまま就労させれば、不適正派遣と判断される可能性もあります。
業務違反が発覚すれば、雇用主は罰則が科される恐れがあるため注意が必要です。

2.言語・文化ギャップによる現場混乱

外国人派遣を導入する際は、言語や文化の違いが原因で現場が混乱するおそれがあります。

業務指示が伝わらなかったり、報連相の習慣が異なったりするケースが想定されます。
また、育ってきた環境による価値観や常識のズレが、思わぬ誤解や軋轢を生む可能性もあるでしょう。

例えば、ストレートな表現を好む外国人には、日本の「空気を読む」文化や曖昧な言い回しは理解しづらいかもしれません。
こうしたすれ違いは、業務の停滞を招くだけでなく、周囲との信頼関係構築を妨げる原因にもなります。

外国人を派遣雇用する際に必要な手続き

外国人を派遣で受け入れるには、事前に確認すべき法的手続きがあります。
手続きを怠ると、企業側が法的責任を問われるリスクもあります。
くれぐれも、慎重な準備を欠かさないようにしてください。

特に重要なのは、以下の3つの手続きです。

● 在留資格の確認(在留カードの写し取得)
● 外国人雇用状況の届出提出
● 派遣終了後の退職証明書発行

それぞれの対応内容と注意点について、順に解説します。

1.在留資格の確認(在留カードの写し取得)

外国人を派遣で雇用する際は、在留カードの確認が必須です。
確認を怠ると、不法就労と見なされるリスクが高まります。

具体的には、次の項目を確認します。

● 偽造や加工の有無
● 有効期限が切れていないか
● 在留カード番号が失効していないか
● 就労制限の有無や在留資格の内容
● 資格外活動許可の有無

確認する際には、必ず原本を提示してもらい写しを保管しましょう。

2.外国人雇用状況の届出の提出

外国人を雇用した際は、ハローワークへの届出が義務付けられています。
外国人雇用状況の届出を怠ると、派遣元は行政指導や罰則の対象になる可能性があります。

また、提出期限にも注意が必要です。
外国人雇用状況の届出は、雇入れまたは離職の翌月末までに提出します。

対象となるのは、在留資格を持って就労するすべての外国人です。
提出内容には、氏名・在留資格・在留期間・資格外活動許可の有無などが含まれます。

3.派遣終了後の退職証明書発行

派遣契約が終了した際、退職証明書を交付する必要があります。
派遣終了後の退職証明書は、労働基準法第22条 に基づくもので、公的書類ではありません。
離職票や離職証明書とは異なり、派遣元が本人に直接発行する書面です。

証明書には、在籍期間、担当業務、退職理由などを記載します。
就職活動や在留資格の更新で求められる場面もあるため、正確な記載をしてください。

まとめ 外国人派遣では正しい知識と準備が成功のカギ

外国人派遣は、即戦力を柔軟に確保できる手段として有効です。
一方で、在留資格の確認や行政手続き、現場での配慮が欠けると、法令違反やトラブルにつながるおそれがあります。

安全に運用するには、法令に基づいた手続きと、文化や言語の違いに対応した体制づくりが欠かせません。

派遣元と派遣先が役割を正しく理解し、事前準備を徹底しましょう。

メタディスクリプション
外国人派遣を検討中の方へ。導入のメリットだけでなく、在留資格の確認や届出手続き、文化的ギャップへの配慮などをわかりやすく解説しています。派遣元・派遣先双方に役立つ内容です。

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