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労働局の派遣先調査とは?必要書類や気をつけるポイントを解説

<目次>
導入文
労働局の派遣調査とは|企業のコンプライアンス健康診断
労働局が派遣先を調査するケースを解説
労働局の派遣調査の基本的な流れと注意事項
 ① 基本的な流れと必要書類
 ②調査項目と注意事項
労働局の調査で受ける指導を段階順に解説
 1. 指導票|違反ではないが改善を要求
 2. 是正指導書|法令違反の改善指示
 3. 是正勧告書|改善が見られない場合に発行
労働局の調査で指導を受けないために徹底すべき対策
【まとめ】 派遣社員の管理は派遣元任せにしないことが大切

導入文

労働局の調査は、労働者派遣法改正を受けて派遣先企業への実施回数が増加しています。
人事・総務においては「労働局の調査とは何?」「どんなときに受けるの?」と疑問を持つ方もいるでしょう。

本記事では調査の概要や必要書類など、労働局の派遣先調査に備えた基本知識を解説します。
派遣社員に関する書類は派遣元だけではなく、派遣先も管理する必要があります。
本記事を参考に労働局の調査への対応を図り、企業の信頼と派遣社員の労働環境を守りましょう。

労働局の派遣調査とは|企業のコンプライアンス健康診断

労働局の派遣調査とは、派遣社員の待遇が法に則っているかを確認する調査です。
いわば、企業のコンプライアンスに関する健康診断といえます。

特に2020年に義務化された「同一労働同一賃金」は、重要な調査項目です。
「派遣労働者の同一労働同一賃金」は、直接雇用者と派遣社員の間に不合理な格差をなくす目的で定められたルールです。
基本給や賞与のほか、各種手当や福利厚生など、あらゆる待遇が比較対象です。

そのため現在の調査では、この点も厳しくチェックされます。
調査は派遣元企業だけでなく、派遣先企業も対象となるため注意しましょう。

労働局が派遣先を調査するケースを解説

派遣先が調査されるケースは、大きく3つあげられます。

1つめは、派遣社員が労働局・労働基準監督署へ申告したケースです。
法律で定められた対応ができていないと、起こりやすくなります。

2つめは、派遣会社(派遣元)の調査に不明点があった場合です。
派遣元は、3〜5年に1度の割合で定期調査を受けています。
その際に派遣元が提出した書類に不備があれば、派遣先も調査対象となる可能性があります。

3つめのケースは、法改正への対応状況を確認するために派遣元・派遣先の双方を調査する場合です。

いずれのケースも、法に則った対処をしていれば問題なく対応できるでしょう。

労働局の派遣調査の基本的な流れと注意事項

ここでは、派遣調査の基本として以下の項目を解説します。

● ① 基本的な流れと必要書類
● ② 調査項目と注意事項

調査へのスムーズな対応のため、全般的な基本事項を理解しておきましょう。

① 基本的な流れと必要書類

書面調査の基本的な流れは、以下のとおりです。

1. 労働局から、電話または書面で調査実施の連絡が入る
2. 定められた期日までに指定された書類を労働局に提出
3. 調査実施後、問題が発覚すれば「労働局から指導」が行われる

派遣先調査の際は、以下の書類が必ず求められます。

● 派遣先管理台帳
● 労働者派遣個別契約書
● 比較対象労働者に関する情報提供の写し
● 始業・就業時刻を記録した書類(タイムシート)

このほかにも、特殊健康診断の結果や事業所抵触日延長手続きなどの書類も必要に応じて提出が求められます。

② 調査項目と注意事項

派遣先の調査では、主に以下の項目が重点的に調べられます。

● 派遣社員全員の管理台帳が保管されているか
● 契約に漏れや違反がないか
● 派遣元に情報提供を適切に行っているか

書類は適宜作成し、すぐ提出できるように保管しておきましょう。

注意したいポイントは、派遣調査には書面調査のほかに訪問調査もある点です。
訪問調査の場合は、定められた期日に労働局の職員が訪問して書類調査を行います。

労働局の調査で受ける指導を段階順に解説

労働局の調査で受ける指導の詳細を、それぞれ解説します。

1. 指導票|違反ではないが改善を要求
2. 是正指導書|法令違反の改善指示
3. 是正勧告書|改善が見られない場合に発行

派遣先調査で不備や不明点があると、違反度の高さに応じた指導を受けます。
いずれも行政指導のため、法的拘束力はありません。
ただし、企業として社会的信用の損失など不利益を被るため、指導には適切な対応を図りましょう。

1. 指導票|違反ではないが改善を要求

指導票は、法令違反は見当たらなかったものの改善が必要とされる場合に受ける指導です。
一例として、長時間労働が常態化している場合やタイムシートの勤怠時刻が事実と相違する可能性があるときなどがあげられます。

指導票の発行は行政指導に当たり、指定期日までに改善状況の報告が求められます。

2. 是正指導書|法令違反の改善指示

是正指導書は、調査で法令違反が見当たる場合に発行される改善指示です。
派遣先でよくある違反の一例は、以下のとおりです。

● 派遣受け入れ前に面接を行う
● 履歴書を提出させる

軽微な違反であれば、口頭による「助言」で済む場合もあります。
是正指導書には指定期日が記載されており、期日までに指導内容の改善を図り「是正報告書」を提出するように求められます。

3. 是正勧告書|改善が見られない場合に発行

是正勧告書は、指導を繰り返しても改善されない場合に発行される勧告です。
是正指導書と同様で、書面には提出の期日が記載されています。

法的拘束力はないものの、勧告を無視すると派遣法に定められた罰則が適用される恐れがあります。
企業の信頼と労働者の雇用を守るためにも、万が一勧告を受けた場合は速やかに対応しましょう。

労働局の調査で指導を受けないために徹底すべき対策

調査で指導を受けないためには、積極的に自主点検を行うことが大切です。
点検時は、厚生労働省が用意した自主点検表を活用するとよいでしょう。

また、各都道府県の労働局HPでは、改正派遣法の解説や労働局作成のチェックリストなど役立つ情報が掲載されています。

日頃から派遣会社とコミュニケーションを取っておくと、調査に対して適切な対応が取りやすくなります。
派遣元担当者との連絡は密に行って信頼関係を結び、情報交換を図りましょう。

人材管理システムの導入も、書類の不備やミスを防ぐ有効な方法です。

参照 厚生労働省|派遣労働者の同一労働同一賃金に係る自主点検表(派遣先用)

【まとめ】 派遣社員の管理は派遣元任せにしないことが大切

労働局の調査は派遣元・派遣先双方に及ぶため、派遣先にも派遣社員を管理する責任が問われます。
派遣社員の管理を派遣元任せにしていると、調査を受けた際に思いがけない不利益を被る恐れもあります。

派遣先の人事担当者は人材管理システムや業務管理ツールを上手く活用し、調査に必要な書類を適切に保管するよう心がけましょう。

メタディスクリプション
労働局の調査による派遣先指導が、近年増加しています。本記事では、調査の基本的な流れや必要書類など派遣社員を受け入れる企業に役立つ情報を解説しています。調査で指導を受けないために取るべき対応を知りたい派遣先人事担当の方は、ぜひご覧ください。

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