公労使と障害者団体の代表らで構成する厚生労働省の「今後の障害者雇用促進制度の在り方に関する研究会」は11月11日、障害者雇用の「質」として重視されるべき要素と、「質」を高めるために取るべき政策的対応を念頭に議論を深めました。また、これまでの議論で課題が指摘されていた「障害者雇用ビジネス」(代行ビジネス)については、業界団体による適正化に向けた動きを把握して検討する形となり、次回会合で日本障害者雇用促進事業者協会(JEAP)を招いて議論を深める予定です。
昨年12月に始動した同研究会では、障害者の雇用者数は堅調に増加している一方で「雇用の質」の向上に向けてどのような対応が求められるか。また、雇用率制度については(1)手帳を所持していない難病患者や、精神・発達障害者の位置づけ(2)就労継続支援A型事業所やその利用者の位置づけ(3)精神障害者において雇用率制度における「重度」区分を設けることについて(4)障害者雇用納付金の納付義務の適用範囲を常用労働者数が100人以下の事業主へ拡大することについて――をテーマにヒアリングを交えて議論を重ねています。
この日、事務局の厚労省は、2018年以降の法制の流れや関係機関が実施した大規模なアンケートの調査結果、同研究会で挙がった意見を整理したうえで、論点と方向性を提示。障害者雇用の「質」として重視されるべき要素と「質」を高めるために取るべき政策的対応は何か――を念頭に、(1)能力発揮の十分な促進(職務の選定・創出と障害特性等との適切なマッチング・成長を促すOJTや教育訓練機会の確保)、(2)能力発揮の成果の事業活動への十分な活用、(3)発揮した能力に対する正当な評価とその反映――などをガイドラインを含む法令に明示する案を示しました。
このほか、「障害者雇用ビジネス」については2024年4月以降、短期間で大きく増加傾向にあるとしたうえで、「背景には法定雇用率を達成するために求められる現実的なハードルを乗り越えることが容易でないため、企業のニーズが増大している」と整理。これまでの議論でさまざまな課題が指摘されていますが、業界による適正化を目指す動きも生まれており、こうした実態を踏まえつつ次回の研究会議論を深めることになりました。
同研究会は、12月にも報告書の取りまとめに向けた作業を活発化させる見通しです。
提供:アドバンスニュース
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