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派遣先で責任者になるのは違法?派遣法の基本と現場での対策

「派遣先で勤務している派遣社員に、指導・教育の責任者を任せたい」
「派遣先でチーム全体の責任者をお願いしても大丈夫だろうか」

業務に詳しい契約社員に、教育や指導を依頼したいと考える人事担当の方へ。
今回の記事では、派遣社員が派遣先で指導・教育できるのかを解説します。
また、実際に指導・教育の責任者になった場合の対処法にも触れています。
最後に具体的なQ&Aも紹介しているので、現場をより良く改善できるようにしましょう。

<目次>
派遣先で責任者になるのは原則で法律違反
1.基本的にはNG
2.派遣契約に記載がある場合はOK
派遣先で指示・教育する例が存在する3つの原因
原因1.現場に適切な責任者・担当者がいない
原因2.派遣先が派遣法についてよく理解していない
原因3.業務外と知りながら、面倒な教育を任せている
派遣先で責任者を選任していた際の3つの改善法
1.派遣契約の内容をチェックする
2.派遣先責任者や派遣元に申し入れる
3.違う派遣先に依頼できるか検討する
Q1.管理業務を依頼するにはどうすればよい?
Q2.関係会社の社員が派遣社員に業務指示出せる?

派遣先で責任者になるのは原則で法令違反

派遣社員が派遣先において、責任者になるのは法令に違反する可能性があります。
特に、他の社員に指示や命令、教育の業務に就くのは原則としてNGです。

派遣社員は派遣元と雇用契約を交わしています。
ただし、実際に業務を指示するのは派遣先の企業です。
そのため、理解不足から生じる、思わぬ法令違反を防ぐよう注意しましょう。

1.基本的にはNG

指示や教育の業務が契約の範囲外であれば違法です。
根拠となる法令は以下のとおりです。
●労働基準法第34条1項1号(就業条件等の明示)
●労働者派遣法第26条1項1号(契約の内容等)
●労働者派遣法施行規則規則22条1項1号(責任の程度)

派遣社員は、派遣元会社との契約に基づいて派遣先で業務を行います。
派遣社員が派遣先で指示・教育の業務に就くと、労働条件等が不明確になる可能性もあります。
そのため、通常の業務内容には記載されない他者に対する指示や教育はできません。

2.派遣契約に記載がある場合はOK

派遣契約書に、指示や教育の責任者としての業務が記載してある場合は問題ありません。
派遣元からの指揮命令の範囲内で行われていると解釈できるからです。

具体的には以下の例が当てはまります。
●専門的な知識や技能を持ち、該当の分野で業務を行う場合
●同じ派遣元会社から派遣された要員に対して指示・教育する場合

責任者は、指導や教育に携わる重要なポジションです。
契約内容に指示や教育について記載している場合でも、実情と照らし合わせて行いましょう。

派遣先で指示・教育する例が存在する3つの原因

派遣社員が、別の社員に指示や教育を行ってしまう原因は以下のとおりです。

●現場に適切な責任者・担当者がいない
●派遣先が派遣法についてよく理解していない
●業務外と知りながら、面倒な教育を任せている

以下ではそれぞれの原因について、詳しく解説します。

原因1.現場に適切な責任者・担当者がいない

現場に適切な責任者がいないため、派遣社員を責任者に据えるケースがあります。
派遣先は人手不足の解消を目的に、派遣社員を迎え入れるケースが一般的です。

そのため、もともと現場に責任者がいない可能性があります。
上記の流れから、派遣社員に対して一時的に責任者を依頼するケースも考えられます。
そのまま放置すれば、契約範囲外の状態が続くため注意してください。

原因2.派遣先が派遣法についてよく理解していない

派遣先が派遣法について、理解していないケースがあります。

そのため、派遣社員に対して適切な作業配置や指示ができていない状態が生じます。
労働条件と実際の業務が違うまま、稼働が続く場合もあるでしょう。

思わぬ法令違反や条件提示の齟齬で、派遣社員から不満を持たれてはパフォーマンスに影響します。
派遣法や規則など関連する法律については、十分に調べておくようにしましょう。

原因3.業務外と知りながら、面倒な教育を任せている

派遣先が、教育に関わる業務を派遣社員に押し付けている場合もあります。
派遣法を理解しているにもかかわらず、労力やコストを惜しんでいるかもしれません。

また、派遣社員同士の教育指導であれば、強く断りにくい面もあります。
そうした状況を織り込んだ上で、意図的に教育業務をさせている悪質な現場もあります。

派遣先で責任者を選任していた際の3つの改善法

派遣先で責任者を選任していた際の改善策は以下の3点です。

●派遣契約の内容をチェックする
●派遣元に申し入れる
●違う派遣先に依頼できるか検討する

以下にて、詳しく解説します。

1.派遣契約の内容をチェックする

派遣契約の内容をチェックしましょう。
契約書には、派遣先でのポジションや責任の範囲が記載されています。

そのため、契約に定められていない業務を命ずることはできません。
派遣先の担当者は、契約書に記載されている内容を必ず把握してください。
新たに教育や指導を依頼する場合にも、契約内容を再チェックしておきましょう。

2.派遣元に申し入れる

業務範囲外である指示や教育を依頼する場合は、派遣元に申し入れる必要があります。
派遣先は、変更したい契約内容を漏らさず派遣元に伝えましょう。

派遣社員への依頼内容について、契約内容の範囲を超える可能性があると思われる場合も、事前に派遣元に確認するべきです。
現場の責任者と連携を取りながら、シームレスな対応を心がけると良いでしょう。

3.違う派遣元に依頼できるか検討する

違う派遣元を探すのも有効な方法です。
どうしても責任者の業務を派遣社員に任せたい場合は、ニーズに合った派遣元があるか検討しましょう。

その際は、教育・指導の経験があるスタッフが在籍している会社を探すのがポイントです。
役職や部下の人数を具体的に記載して、イメージを明確にしておくと依頼しやすくなります。

Q1.管理業務を依頼するにはどうすればよい?

派遣先は、派遣契約書に業務の内容を具体的に記載する必要があります。
期間限定のプロジェクトや一時的に人材が足りない職場で活用するのがおすすめです。

また労働者派遣契約には、「派遣社員が従事する業務にともなう責任の程度」を記載しなければなりません。

参照:労働者派遣法施行規則22条1項1号

Q2.関係会社の社員が派遣社員に業務指示出せる?

派遣先以外の方が、派遣社員に業務指示(指揮命令)を出すと「2重派遣」に該当し違法です。
そのため、子会社の業務と重なる場合には注意する必要があります。
派遣社員が入る場合には、指示フローを整理し、業務の指示や伝達が正しくできる組織にしておきましょう。

メタディスクリプション
「派遣社員に新しく入った派遣社員の指導・教育を頼みたい」 「長年いる派遣社員にチームの教育をお願いしても大丈夫だろうか」 今回の記事は、派遣社員ができる指導・教育について解説します。ぜひ参考にしてみてください。

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