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障碍者雇用のメリットとは?社会的意義や定着のポイントも解説

令和5年現在、従業員43.5名以上の企業に対して一定の割合以上の障碍者を雇用する義務があります。
しかし、障碍者を雇用するメリットや雇用する際の注意点がわからず、お困りの企業も多いでしょう。

この記事では、企業の障碍者雇用義務の概略と、障碍者雇用がもたらすメリット、採用・定着のポイントをご紹介します。

自社で障碍者雇用を促進する際の参考にしてください。

<目次>
■障碍者雇用の社会的意義・企業の義務
障碍者雇用率と対象企業
障碍者雇用に関する納付金・調整金
■障碍者雇用による企業側のメリット
1.利益拡大につながる
2.従業員の離職率低減につながる
3.企業価値の向上につながる
■障碍者雇用の受け入れに関するポイント
1.職場環境や業務に対する適性の確認
2.適切な業務分担と評価
3.サポート体制の構築
■積極的な障碍者雇用は企業の発展に大きなメリットをもたらす

障碍者雇用の社会的意義・企業の義務

ダイバーシティ&インクルージョンや働き方の多様化が進む中、「社会の公器」たる企業には多様な人材の雇用による社会貢献が期待されています。

障碍者雇用は、障碍者雇用基本法の理念である「互いに人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現」につながる、社会的に意義の大きな活動です。

同時に障碍者雇用は、法律で定められた企業の義務でもあります。
これから紹介する企業の雇用義務の内容を、しっかり確認してください。

障碍者雇用率と対象企業

企業には、従業員数に応じて障碍者を雇用する義務があります。

従業員数に対して雇用すべき最低限の障碍者の割合を「法定雇用率」といい、民間企業の雇用率は以下の通り段階的に増加中です。

令和5年度 令和6年4月 令和8年7月
法定雇用率 2.3% 2.5% 2.7%
対象事業者の従業員数 43.5人以上 40人以上 37.5人以上

(出典:厚生労働省「障害者の法定雇用率引上げと支援策の強化について」)

規模の小さい企業でも、今後は障碍者雇用が必要になる見通しです。

障碍者雇用に関する納付金・調整金

障碍者雇用を促進するため、納付金と調整金の制度が設けられています。

名称 概要 金額
障碍者雇用納付金 法定雇用率を下回る場合に納付する 不足1名につき月50,000円
障碍者雇用調整金 法定雇用率を上回る場合に支給される 超過1名につき月27,000円

調整金は、障碍者の方が働きやすい環境整備の費用に充てましょう。

障碍者雇用による企業側のメリット

障碍者雇用は、受け入れ側の準備や職業指導などの手間がかかり、デメリットが大きいと考える方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、積極的な障碍者雇用が企業にもたらすメリットが具体的に判明しています。
今回は、特に注目すべき3つのメリットをご紹介します。

1.利益拡大につながる

2019年の世界経済フォーラム年次総会では、障碍者雇用が企業にもたらすメリットとしてアクセンチュアの調査結果が注目を集めました。

調査によると、障碍者の受け入れが進んでいる企業は競合他社に比べ、収益が28%、純利益が2倍、利益率が30%高いとされています。

障碍者雇用が利益拡大につながる理由として、以下が考えられます。

● 障碍者の業務創出のために業務の見直しや最適化が進み、業務効率が上がる
● 多様な人材が活躍できる環境が整い、優秀な人材の採用やイノベーションが進む

障碍者雇用がもたらす実益への影響は、多くの企業が注目すべきメリットです。

2.従業員の離職率低減につながる

世界経済フォーラム年次総会で発表された障害者雇用活動団体ワークプレイス・イニシアチブの研究結果によると、障碍者雇用の進んでいる企業は、他企業に比べて離職率が最大で30%低くなっています。

離職率低下の理由として、以下2点が考えられます。

● 障碍の有無にかかわらずすべての人が働きやすい環境整備が進む
● 多様な人材を受け入れる寛容な社風づくりが進む

障碍者が働きやすい企業は、障碍のない従業員にとっても心地よい職場環境が整っているといえるでしょう。

3.企業価値の向上につながる

障碍者雇用が進む企業は、多様な人材が活躍できる企業として高く評価されます。

米国ビジネスリーダーシップネットワーク(USBLN)と米国障がい者協会(AAPD)は、障碍者雇用に取り組む優良企業のリストを毎年発表しています。

2022年度は、日本企業からソニーやオリンパス、大塚製薬、武田薬品がランクインしました。

今後も多様な人材を受け入れる企業は、社会的に評価されていくでしょう。

障碍者雇用の受け入れに関するポイント

障碍者の方を積極的に採用し、安定して働いてもらうためには、環境整備や従業員同士の配慮が必要です。

企業の障碍者雇用・定着に関するポイントを3つ紹介します。

1.職場環境や業務に対する適性の確認

同じ「身体障碍者」「精神障碍者」だとしても、障碍の特性は一人ひとり大きく異なります。

採用選考時には、本人の心身の状況や適性などをしっかりと把握し、自社の職場環境や業務内容とマッチするかを判断しましょう。

業務内容と本人の適性が合わなければ、早期離職につながります。

2.適切な業務分担と評価

一人ひとりの障碍特性や能力に合わせた、適切な業務分担を心がけてください。

障碍者もそうでない方にとっても、会社に貢献するためには強みを発揮できる環境や役割分担が大切です。

また、障碍の有無にかかわらず、能力に応じた昇給や昇格を行うなどの公平な評価制度も整備しましょう。

3.サポート体制の構築

相談窓口の設置、管理職への障碍理解のための研修開催など、障碍者が必要なときにサポートを受けられる体制づくりを推進してください。

障碍の特性に応じて、短時間勤務や在宅勤務の適用も検討が必要です。
定期受診や体調不良時に休暇を取得しやすい環境づくりを進め、定着率の向上に努めましょう。

障積極的な障碍者雇用は企業の発展に大きなメリットをもたらす

障碍者雇用は社会的に意義が大きい取り組みであるだけでなく、企業にとって果たすべき義務でもあります。

採用や就業の困難さばかりが注目されがちですが、近年では障碍者雇用が企業にもたらすメリットの大きさも明らかになってきています。

障碍者雇用の推進は、すべての労働者が快適に活躍できる職場づくりを目指すうえで重要な取り組みです。

自社の発展と、障碍者の方の就業機会の提供の両面の意義から、積極的な受け入れを検討してください。

Q1.障碍者雇用率を下回った場合、納付金以外のペナルティはありますか?
障碍者雇用率を下回る場合、2年間の受け入れ計画の命令が発出されます。改善が進まない場合は特別指導の対象となり、最終的には企業名が公表されます。

なお納付金は、積極的に障碍者雇用をしている企業とそうでない企業の経済的負担の格差を調整するための措置と考えましょう。

Q2.障碍者雇用に関する助成金はありますか?
障碍者を雇用した場合の助成金には、「特定就職困難者雇用開発助成金」「トライアル雇用助成金」「人材開発支援助成金」などがあります。

最新の助成金情報は、厚生労働省や独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構などのホームページで確認してください。

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