「初めて派遣社員を採用した。どんな準備が必要?」
「正社員の採用時と受け入れ内容で異なる点はある?」
このように、慣れない派遣社員の受け入れにお困りの人事部・管理職の方もいらっしゃるでしょう。
この記事では、派遣社員の就業前の準備から、就業当日の流れ、おさえておくべきポイントを解説します。
これから派遣社員を受け入れる企業の皆さんは、必ず確認して準備を進めてください。
<目次>
■派遣社員を受け入れるまでの事前準備
1.契約内容の確認
2.指揮命令者などの選定
3.備品や什器などの用意
4.ITツールのアカウント発行など
5.関係者への周知
■派遣社員の受け入れ当日の流れと注意点
1.朝礼などで社内通知
2.オフィス内の案内
3.社内ルールの説明
4.業務内容の説明
5.勤怠の記録
派遣社員が気持ちよく効率的に業務に集中できる環境整備を
派遣社員を受け入れるまでの事前準備
まずは、派遣社員の就業日当日までの準備内容をご紹介します。
直接雇用の正社員と異なり派遣社員ならではの準備物もありますので、不備のないよう必ず確認してください。
1.契約内容の確認
労働者派遣の決定から就業開始までの間に、派遣元企業と以下の契約書などを締結・通知する必要があります。
労働者派遣基本契約書 | 労働者派遣に関する合意内容を示した基本契約 |
労働者派遣個別契約書 | 派遣労働者ごとの労働条件などを記載した個別契約 |
事業所抵触日の通知書 | 派遣先企業が派遣可能期間の制限にあたる最初の日を派遣元企業に通知 |
待遇等に関する情報提供 | 同一労働同一賃金に関する派遣先情報の提示 |
派遣元企業と相談しつつ、必ず派遣当日までに準備を済ませましょう。
2.指揮命令者などの選定
派遣社員の受け入れに際して、派遣先企業では以下の責任者などの選定が必要です。
派遣先責任者 | 派遣労働者が適切に就業できるよう一元的に管理する者 |
指揮命令者 | 派遣労働者に実際に業務指示を行う者 |
苦情処理の担当者 | 派遣労働者からの就業に関する苦情の申し出に対処する者 |
選任された本人に職責を正しく理解してもらうよう、事前に説明してください。
3.備品や什器などの用意
派遣社員が就業にあたって使用する備品や什器などを準備します。具体的には、以下のような内容です。
●デスク・椅子
●パソコン
●入館証やIDカード
●制服
●各種マニュアル
●組織図や座席表など社内理解に必要な書類
必要な準備物は、新入社員の受け入れ時と基本的に同じです。
業務内容に照らして必要性の判断をしてください。
4.ITツールのアカウント発行など
業務で使用するITツールなどのアカウントを事前に発行します。具体的には、以下のようなものがあります。
●officeなどの業務管理ツール
●クラウドフォルダなどの共有ツール
●社内SNSなどの情報共有ツール
派遣社員が担当する業務内容に合わせて、適切にアクセス制限などを設定してください。
ただし、派遣社員の身分だけを理由に差別的な取り扱いをしてはいけません。
5.関係者への周知
就業初日からスムーズに仕事に取り掛かれるよう、業務上関係のある社員などには派遣社員の氏名や就業開始日、勤務時間や担当する業務内容などを事前に知らせましょう。
以下のメンバーには、必ず事前周知してください。
●部門の責任者や、指揮命令者
●同じ部門のメンバー
●人事部や総務部
派遣社員が気持ちよく就業できるよう、関係者間での事前の情報共有が大切です。
派遣社員の受け入れ当日の流れと注意点
次に、受け入れ初日の流れや注意点を解説します。
具体的なスケジュールは業界や職種、企業ごとに異なりますが、どのような企業でもおさせておくべきポイントを中心にご紹介するので、参考にしてください。
1.朝礼などで社内通知
朝礼などを実施している企業は、就業初日に社員への紹介と本人からの自己紹介を行いましょう。
「派遣さん」「派遣の人」といった扱いではなく、新入社員の入社時と同じように新しいメンバーとして歓迎する雰囲気づくりが大切です。
朝礼を実施していない企業では、社内報や社内SNSなどを活用するとよいでしょう。
2.オフィス内の案内
総務担当などから派遣社員にオフィスやビル内の設備などを案内します。
●更衣室、休憩室、トイレ
●執務室や会議室のレイアウト
●プリンターの位置や使い方
●昼食を購入できる場所 など
社食など正社員が利用できる福利厚生がある場合は、派遣社員も同様に利用できるように手配してください。
3.社内ルールの説明
社内独自のルールをしっかりと伝え、誰に・何を・どのように報告するかなどを明確にします。
●出退勤時の決まりごと(例:朝出社したら全員でオフィスを掃除)
●休憩の取り方
●会議室の予約方法
●業務の指示・承認者とフロー
●欠勤する場合の連絡手段と連絡先
●機密情報の取り扱い
●電話の取り次ぎ方 など
マニュアルをもとに説明すると効率的です。
4.業務内容の説明
オフィスの設備や社内ルールの確認が完了したら、指揮命令者などから具体的な業務内容を説明します。
派遣社員は派遣契約で業務内容が決まっているため、業務指示を出す方は必ず事前に契約書を確認してください。
派遣社員が業務に慣れるまでは、先輩社員と一緒に業務を担当する、定期的に面談するなどの配慮が必要です。
5.勤怠の記録
派遣社員の報酬体系は、時給制の場合がほとんどです。
分単位で正確に労働時間を記録してください。
労働時間だけでなく、休憩時間も正しく管理する必要があります。
勤怠記録の具体的な方法は、専用の用紙に手書きで記載したり、システムに入力したりと派遣元企業ごとに異なります。
事前に確認しておきましょう。
派遣社員が気持ちよく効率的に業務に集中できる環境整備を
派遣社員の受け入れ準備は、基本的に正社員と同じです。
不合理な格差が生じないように備品などを揃え、仲間として迎え入れる準備を進めてください。
一方で、契約書や業務内容、勤怠管理の方法などは直接雇用の社員と異なるため、事前に派遣元企業とよく確認してスムーズに業務に当たれるよう準備しましょう。
所属部門の責任者や同僚が派遣社員の働き方を正しく理解し、派遣社員が気持ちよく、効率的に業務に集中できる環境を整えてください。
Q1.正社員を対象に実施している教育訓練について、派遣社員を対象外にしても問題ありませんか?
教育訓練の受講対象者である社員の業務内容が派遣社員と同一である場合、該当する派遣社員にも教育訓練を実施する義務があります。
正社員と派遣社員との間で、不合理な相違や差別的な取り扱いを生じさせてはいけません。
Q2.派遣社員にも健康診断を受けてもらう必要がありますか?
一般の健康診断は派遣元で実施するため不要です。
一方で、業務にともなう特殊健康診断は派遣先で実施します。
健診費用や健診にかかる時間の時給は、すべて派遣先が負担します。
時間外に健診を受けさせる場合は割増賃金の対象になるため、注意してください。
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