政府は11月2日の臨時閣議で、物価高対策を主眼とした「デフレ完全脱却のための総合経済対策」を決定しました。岸田首相は「デフレ脱却ができるかどうかの瀬戸際だからこそ、あらゆる手法を総動員して『稼ぐ力』を強化する」と表明。年内に着手する住民税非課税世帯への給付や、来年6月実施予定の所得税と住民税の減税などについて要所と狙いを説明しました。経済対策の概要と、今後3年間を「変革期間」と位置づけて注力する「三位一体の労働市場改革」の動きをみていきます。
総合経済対策の主眼は、(1)物価高に苦しむ国民に対して成長の成果を適切に還元(2)長年続いてきたコストカット型の経済から30年ぶりに歴史的転換を図る――の2つです。これから3年程度を変革期間と位置づけ、三位一体の労働市場改革や持続的賃上げを伴う消費の活発化、DX・GXなど、企業の新陳代謝による経済の供給力の強化・高度化などに集中します。
2つの目的を着実に実行できるように、(1)物価高への対応(2)持続的賃上げと地方の成長(3)国内投資の促進(4)人口減少対策(5)国民の安心・安全の確保――の5本柱を推し進める方針です。
これに伴う制度改革は36項目で、2013年以降に取りまとめられた経済対策では最多です。三位一体の労働市場改革に連なる「リスキリング」「賃上げ」「労働移動」に関する具体策をみてみると、
・労働者の賃金を上げた企業が受けられる税制優遇や補助金を拡充
・赤字企業は恩恵を受けられないが黒字化を前提に控除を受けられる制度創設
・年収が106万円以上になると社会保険料の負担が生じ、手取りが減る「年収の壁」に対応して、1人最大50万円を補助
・最低賃金を30円以上引き上げた中小企業の設備投資費用を補助する「業務改善助成金」は、引き上げ額に応じて30万~600万円を助成
・資格学習の費用を最大70%補助する「教育訓練給付」も補助を増やす
・企業下での学び直しは転職などの労働移動につながりにくいため、5年以内に過半数を個人が受けられる仕組みに移行
・非正規の正社員化を後押しするため、働きながらでも通いやすい職業訓練の仕組みを構築
――などが並んでいます。
これら、企業に関係する施策や事業は、予算措置を整えたのち、本年度から来年度にかけて実施される運びです。
提供:アドバンスニュース
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