<目次>
導入文
労働時間の概念と判断基準
労働時間に含まれる仕事・含まれない仕事の具体例
労働時間に含まれる仕事内容
労働時間に含まれない仕事内容
残業の取り扱いとは?4つの確認事項
1.事前に派遣元に相談
2.36協定があるか確認
3.残業代は正社員と同じ計算
4.休憩時間も別途確保
Q.在宅勤務時の勤務体系・労働時間とは?
Q.労働時間の中で休憩は一斉に取得させる?
導入文
「派遣社員の労働時間に関するルールとは?」
上記について、労働基準法の規定を認識しておく必要があります。
派遣契約で取り決めた労働時間が守られていない場合、派遣社員、派遣元とのトラブルに発展するリスクがあります。
そこで今回は、労働時間についての取り扱いについて徹底解説。
また、派遣社員に残業させる際に注意すべき点についても取り上げています。
派遣先の指揮命令者、人事担当の方は、ぜひ参考にしてください。
労働時間の概念と判断基準
労働時間とは、労働者が雇用主の指揮・命令の下で働く時間を指します。
こちらに関しては、就業規則や雇用契約書の内容にとどまりません。
「使用者の指揮命令下にある」と客観的に判断できる状態であれば、労働時間とみなされます。
例えば、社内ルールで終業時間外の作業が決まっている場合には、労働とされます。
派遣契約では、時間給で換算するケースが一般的です。
そのため、特に派遣社員を受け入れる際には、労働時間について正しく理解する必要があります。
労働時間に含まれる仕事・含まれない仕事の具体例
業務以外にも、労働時間として認められる仕事があります。
労働時間に含まれる仕事・含まれない仕事について、以下の通りです。
上記以外にも、実際には働いていなくても労働時間とみなされる場合が多くあります。
細かな事例についても、下記にて紹介します。
労働時間に含まれる仕事内容
労働時間は、雇用主の直接的な命令や暗黙の社内ルールがあるか、客観的な事実に基づいて判断します。
例えば、警備会社では、寝泊まりしながら警備する場合があります。
この場合では、仮眠時間であっても労働時間として認められた判例があります。
輸送・運搬における搬出入の待ち時間も、「搬入の準備」に関連する指示とみなされるため労働時間に含まれます。
労働時間に含まれない仕事内容
社員が自主的に作業している場合には、労働時間に含まれません。
労働時間に含まれない事例としては、朝の掃除や早朝の準備など、派遣社員が自ら実施しているケースが該当します。
また、通勤時間・出張先への移動についても、労働時間とはみなされないケースがあります。
残業の取り扱いとは?4つの確認事項
派遣社員に残業を依頼する場合に、確認しておく事項を紹介します。
押さえておくべきポイントは、以下の4つです。
●事前に派遣元に相談
●36協定があるか確認
●残業代は正社員と同じ計算
●休憩時間も別途確保
それぞれ漏らさず把握してから、残業を指示してください。
1.事前に派遣元に相談
まずは、派遣契約書の「時間外労働に関する記載項目」を確認しましょう。
残業させない旨が記載されている場合には、残業の依頼はできません。
なお、派遣先が派遣社員に残業を指示する場合は、派遣元との雇用契約が必要です。
派遣先で残業を想定している場合は、事前に派遣元企業に相談しておいてください。
2.36協定があるか確認
派遣先は、派遣元が36協定を締結しているか確認をしましょう。
労働基準法では、労働時間の上限を「1日8時間かつ、週40時間」に規定しています。
それを超える労働「残業」を命じる場合は、派遣元で36協定の締結が必須です。
なお、残業できる時間には上限があります。
正社員と同じように、上限を超えないように人事担当者は調整する必要があります。
参考:時間外労働の上限規制わかりやすい解説(厚⽣労働省・都道府県労働局・労働基準監督署)
3.残業代は正社員と同じ計算
2023年の労働基準法の改正により、月60時間を超える時間外労働の割増賃金率が改定されました。
従前は割増賃金率25%でしたが、現在ではすべての企業で50%に引き上げられています。
例えば、通常1時間あたり1,000円で働く派遣社員の場合、月60時間を超える時間外労働に対しては1時間あたり1,500円を支払わなければなりません。
4.休憩時間も別途確保
労働基準法では、休憩時間に関するルールが明記されています。
●労働時間が6時間以内の場合、休憩時間は0分
●労働時間が6時間を超え8時間以内の場合、少なくとも休憩時間は45分
●労働時間が8時間を超える場合、少なくとも休憩時間は1時間
残業によって労働時間が変動する場合があります。
既に1時間の休憩時間を与えていた場合、残業により労働時間が8時間を超えても休憩時間を追加付与する必要はありません。
残業を指示する際には、休憩時間も含めた労働時間の管理が必要です。
Q.在宅勤務時の勤務体系・労働時間とは?
在宅勤務の場合は、「フレックスタイム」や「事業場外労働によるみなし労働時間制」を選択できます。
基本的には、「事業場外労働によるみなし労働時間制」を選択するケースが多い傾向です。
「みなし労働時間制」は、1日の所定労働時間を労働したものとみなす制度です。
なお、みなし労働時間制であっても、6時間を超える場合には必ず休憩を与える必要があります。
Q.労働時間の中で休憩は一斉に取得させる?
労働基準法第34条では、事業場にいるすべての従業員に同時に休憩を与える旨が記載されています。
こちらについては「一斉付与の原則」と言います。
ただし、以下の特定業種については、交替での休憩が可能です。
(特定業種)
●運輸交通業
●商業
●金融広告業
●映画
●演劇業
●通信業
●保健衛生業
●接客娯楽業
●官公署
病院や銀行、飲食店・旅館など、従業員が一斉休憩できない業種については、一斉付与の適用が除外されています。
メタディスクリプション
派遣料金を考える上で、派遣先は派遣社員の業務内容や成果、能力・経験などを評価する必要があります。
今回は、派遣料金の決定に際して派遣先が考慮すべき配慮義務や、評価方法、求められる人事評価などについて紹介します。
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