CATEGORY

派遣に関する特定行為の基礎知識|禁止事項・例外をやさしく解説

<目次>
導入文
派遣の特定行為が禁止される理由|想定されるリスク
派遣先が注意すべき特定行為の禁止事項
1.選考行為
2.聞き取りや希望の伝達
特定行為に該当しない例外的な派遣対応
1.紹介予定派遣
2.匿名スキルシートの活用
3.派遣スタッフの希望による職場見学
特定行為を防ぐための派遣先の実務対策
1.派遣元との事前準備
2.社内へのルール周知と教育
まとめ.特定行為を理解して派遣契約をしよう!

導入文

派遣先による「特定行為」は、労働者派遣法で禁止されている行為です。
面接や履歴書の確認など何気ない対応も、「特定行為」に該当し、労働者派遣法違反となる可能性があります。

また、法令に違反すると、行政指導の対象となるリスクもあるため注意が必要です。

そこで本記事では、特定行為が禁止されている背景や、具体例、例外などを解説します。
特定行為についての理解を深め、円滑な職場環境を築きましょう。

派遣の特定行為が禁止される理由|想定されるリスク

派遣スタッフは派遣元と雇用契約を結んでおり、派遣先が派遣スタッフを選抜できません。
派遣先が自社の判断で選考行為をすれば、雇用と使用(指揮命令)の分離の原則が崩れてしまいます。

労働者派遣法第26条6項 では、履歴書の確認や面接、個人の指名など、労働者を特定する行為を禁止しています。
例えば「事前に履歴書を送付してほしい」「〇〇さんでお願いしたい」といった発言をしないように注意してください。

違反が認められれば、行政指導や事業停止命令の対象となり、派遣元との信頼関係も揺らぎかねません。
適正な人材受け入れを実現するには、法令の趣旨を理解し、現場での対応に反映させる姿勢が必要です。

派遣先が注意すべき特定行為の禁止事項

派遣契約では、派遣先が行ってはならない行為を明確に定めています。
以下では、実務で見落とされやすい代表的な禁止事項を紹介します。
意図せず行ってしまうケースも多いため、事前に内容を理解しておきましょう。

1.選考行為

特定行為の代表格が「選考」にあたる行為です。
以下のような対応は、すべて禁止です。

上記の行為は特定行為に該当し、派遣契約の本質を崩すものとされています。

2.聞き取りや希望の伝達

選考行為ほど明確ではないものの、次の対応も特定行為と判断される場合があります。

面談する際、ちょっとした言動も特定行為になる可能性があります。
対応者は、慎重な対応を心がけましょう。

特定行為に該当しない例外的な派遣対応

特定行為に該当しない例外行為も存在します。

●紹介予定派遣
●匿名スキルシートの活用
●派遣スタッフの希望による職場見学

人事担当者は、例外行為についても把握しておきましょう。

1.紹介予定派遣

紹介予定派遣では、派遣先が面接や書類選考を行っても違反にはなりません。
紹介予定派遣は最終的に直接雇用へ切り替えを判断する必要があります。
そのため、事前選考を実施しても問題にはならず、通常の派遣契約とは異なり、人柄や職場への適応性も確認できます。

ただし、年齢や性別などを理由とした選考は違法です。
業務内容に応じた能力や経験を基準として、客観的な判断を行ってください。

紹介予定派遣を活用する場合も、選考基準の公正性と法令遵守を徹底しましょう。

2.匿名スキルシートの活用

業務に合う人材を判断したい場合は、匿名スキルシートの活用が有効です。
スキルシートには、職務経験やスキル、保有資格などが記載されており、人物像を把握できます。
ただし、氏名や年齢、住所などの個人情報は記載されていません。

スキルシートがあれば、業務への適合性を判断したうえで、派遣元に相談しても問題ありません。
しかしながら、スキルシートの記載内容やフォーマットが不適切であれば、違反とみなされるケースがあります。
活用する際には、派遣元と情報の取り扱いを確認しておきましょう。

3.派遣スタッフの希望による職場見学

派遣スタッフの希望に基づく職場見学は、特定行為には該当しません。
この機会を活用すれば、求めるスキルや業務経験を備えているか確認できます。
業務に関する質問は可能ですが、個人情報やプライバシーには触れないようにしましょう。

なお職場見学をする際には、派遣元担当者の同席が原則です。
派遣先だけで対応すると、特定行為とみなされる可能性があります。

特定行為を防ぐための派遣先の実務対策

特定行為を避けるには、派遣元との連携や社内体制の見直しが欠かせません。
以下では、派遣先として実務で意識すべき対応ポイントを紹介します。

1.派遣元との事前準備

特定行為を避けながら適切な人材を受け入れるには、派遣元との連携が欠かせません。
まずは、求める人材像を明確にし、以下の情報を事前に共有しましょう。

●業務内容や使用するツール
●求めるスキル・資格・経験の水準
●就業時間や体制、現場の雰囲気

これらを踏まえて、派遣元は条件に合う候補者を選び、匿名スキルシートとともに提案します。
派遣先が直接選考する権限はありませんが、情報を正確に伝えればミスマッチを減らせます。

2.社内へのルール周知と教育

特定行為を防ぐには、関係者全体へのルール共有が不可欠です。
現場で対応するマネージャーやリーダーには、具体的な状況を交えて伝えると効果的です。
「職場見学で聞いてはいけない質問」や「派遣元に確認すべき内容」などを明示して間違いを防ぎましょう。

また、次のような取り組みも有効です。

●受け入れ担当者向けチェックリストの作成
●特定行為に関する社内研修の実施
●派遣元との合同勉強会やフィードバック会の実施

背景や目的も併せて共有すれば、現場でも迷わず行動できます。

まとめ.特定行為を理解して派遣契約をしよう!

派遣先に禁止されている「特定行為」は、派遣契約の根幹にかかわるルールです。
うっかり違反は法的リスクだけでなく、現場の混乱も引き起こします。
匿名スキルシートの活用や職場見学の進め方など正しい対応を知り、派遣元と連携しながら受け入れ体制を整えましょう。

メタディスクリプション
派遣先による特定行為とは?禁止理由やNG例、例外対応をやさしく解説します。「面接や書類確認はなぜNGなのか」「職場見学で気をつけるべき点」「派遣元との連携方法」まで実務に即した内容で分かりやすく整理した必読ガイドです。

この記事は役に立ちましたか?

もし参考になりましたら、下記のボタンで教えてください。

関連記事

コメント

この記事へのコメントはありません。