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最低賃金の引き上げ決定!2022年の最低時給額を要チェック!

使用者も労働者も必ず知っておくべき「最低賃金」の制度。2022年は、各都道府県で大幅な最低賃金の時給引き上げが実施されました。

この記事では、最低賃金の基礎知識から、2022年の引き上げ内容、企業が実施すべき対応についてご紹介します。企業の経営者や人事部の担当者の方は、必ず自社の賃金制度を確認してください。

<目次>
■最低賃金とは?
・2種類の最低賃金
・最低賃金の対象者
・最低賃金の基本となる時給の考え方
■2022年の最低賃金引き上げ情報
・最低賃金の引き上げ時期
・地域別の最低賃金
・最低賃金の全国平均
■最低賃金引き上げに対して企業が取るべき対応
・給与額の確認
・人件費上昇への対応
・助成金の活用
■最低賃金のルールに沿った時給の見直しを!
■Q&A

最低賃金とは

最低賃金とは、使用者が労働者に対して支払う賃金の最低基準です。
毎年、賃金の実態調査結果などを参照し、最低賃金審議会で最低賃金額が決定しています。まずは、最低賃金に関する基礎知識を確認しましょう。

2種類の最低賃金

最低賃金は「地域別最低賃金」と「特定最低賃金」の2種類あります。

地域別最低賃金は、都道府県別に設定された賃金の最低基準です。その地域に所属する事業所のすべてが、地域別最低賃金の対象になり、一般的に「最低賃金」と呼ぶ場合は、地域別最低賃金を指します。

特定最低賃金は、特定の産業にのみ適用されるものです。
特に保護が必要と考えられる産業について、地域別最低賃金を上回る基準で最低賃金額が設定されています。

この記事は、地域別最低賃金について取り扱います。

最低賃金の対象者

最低賃金は、業界や職種、雇用形態にかかわらず、すべての労働者が対象です。

アルバイトやパートタイム、有期雇用契約の方なども「労働者」にあたるため、最低賃金が適用されます。
労働基準監督署長により許可された特例の場合を除き、すべての方が最低賃金の対象です。
最低賃金は時給計算で設定されているため正社員は対象外と思われがちですが、月給制や年俸制の正社員も該当するため、把握していない場合は注意してください。

最低賃金の基本となる時給の考え方

自社で設定している給与が最低賃金を超えているか検証する場合、以下の方法で確認します。

時給の場合 時間給≧最低賃金額
日給の場合 日給÷1日の所定労働時間≧最低賃金額
月給の場合 月給÷1か月の平均所定労働時間≧最低賃金額

2022年の最低賃金引き上げ情報

地域別の最低賃金額は、毎年見直されています。
国民の生活にかかる費用、労働者の賃金、企業の賃金支払い能力などを総合的に考慮し、最低賃金を確定します。

2022年は、物価高などの影響を受け、前年度に引き続き最低賃金が引き上げられました。

最低賃金の引き上げ時期

2022年10月より、最低賃金が更新されました。
実際には都道府県により発効日が少しずつ異なり、10月1日の県から10月20日の県までさまざまです。

すでにすべての都道府県が2022年の最低賃金の発効日を過ぎているため、未対応の事業所は早急な確認が必要です。

地域別の最低賃金

地域別に、2022年の最低賃金を確認しましょう。
最低賃金が最も高い地域、低い地域は、以下の通りです。

最も高い都道府県 東京都 1,072円
最も低い都道府県 青森県、秋田県、愛媛県、高知県、佐賀県、長崎県、熊本県、宮崎県、鹿児島県、沖縄県 853円

2021年から最も最低賃金の上がり幅が大きい都道府県は、高知県、沖縄県、岩手県、鳥取県、島根県の5件で、33円アップとなりました。

都道府県別の最低賃金額は、厚生労働省のホームページをご参照ください。
【参照】厚生労働省「地域別最低賃金全国一覧」

最低賃金の全国平均

最低賃金の平均額は、961円です。930円だった2021年と比べて、31円アップしています。
2021年の引き上げ幅は28円で過去最高と言われていましたが、それを上回る上げ幅となりました。

最低賃金引き上げに対して企業が取るべき対応

最低賃金に関する基本知識、2022年の最低賃金について確認したところで、企業が対処すべき対応をまとめて解説します。

まだ2022年の最低賃金を確認できていない企業は、必ず対応を取ってください。

給与額の確認

まず、自社の給与水準が最低賃金を下回っていないか確認する必要があります。
2022年の最低賃金額と比較して自社の給与額が下回る場合、必ず賃金の見直しが必要です。
最低賃金を上回る給与額に改定し、地域の発効日以降の給与に反映させてください。

求人活動を行っている場合は、求人票の記載金額も忘れずに変更しましょう。

人件費上昇への対応

従業員の給与が上がれば、企業が負担する社会保険料なども上がるなど人件費が増加します。

企業の負担増を軽減するための取り組みが大切です。
例えば、労働生産性を上げて残業を減らしたり、シフト調整などで人員配置の見直しをしたりします。

最低賃金の引き上げを契機に、積極的な業務改善への取り組みが重要です。

助成金の活用

賃金の引き上げは、経営基盤の強くない中小企業にとっては死活問題です。
そこで、厚労省などでは、賃金の引き上げや業務改善に取り組む企業を支援する助成金制度を設けています。

代表的な助成金が「業務改善助成金」です。
機械設備などを導入し、事業場内で最も低い賃金を引き上げた場合、業務改善助成金の対象になる可能性があります。

ぜひ活用の検討をしましょう。

【参照】厚生労働省「[2]業務改善助成金:中小企業・小規模事業者の生産性向上のための取組を支援」

最低賃金のルールに沿った時給の見直しを!

最低賃金は、すべての使用者・労働者が対象となる制度です。
2022年の最低賃金引き上げ時給額を、きちんと自社の給与設定に反映させるようにしましょう。

同時に、業務改善によって残業時間を削減するなど、企業の負担増を避ける取り組みも大切です。

最低賃金は毎年見直しの検討がなされるので、早めに対策が打てるよう、アンテナを張るようにしましょう。

Q1.労働者が最低賃金以下の給与額でも良いと合意している場合は、最低賃金の対象外になりますか?
労働者本人が合意していたとしても、最低賃金を下回る賃金額での契約は無効です。
最低賃金額まで引き上げた金額で契約したとみなされます。
最低賃金は、労働者と使用者の合意によって適用除外にはなりません。

Q2.最低賃金を下回る金額で雇用し続けた場合、ペナルティはありますか?
最低賃金を下回る金額で従業員を労働させるのは、違法です。
支払っていた時給と最低賃金の差額分を、追加で支払う必要があります。

また、地域別最低賃金額以上の賃金を支払わない場合、企業に対して50万円以下の罰金が科せられる場合があります。

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