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「技能実習」廃止で新たに「育成就労」創設を提言、政府の有識者会議

外国人技能実習制度を廃止し、人材の「育成と確保」を目的にした新制度創設を検討している政府の有識者会議は11月24日、技能実習に代わる新たな制度として「育成就労」(仮称)の創設を盛り込み、最終報告書を取りまとめました。最終報告の提言に沿った見直しが進むと、就労目的の外国人労働者受け入れを巡る制度は実態に即した仕組みに転換し、環境整備が加速します。与党内には最終報告に対する慎重な意見もありますが、政府は年明けの通常国会に関連法案を提出する方針です。

政府の「技能実習制度及び特定技能制度の在り方に関する有識者会議」(田中明彦座長)は、法務省の所管で昨年12月に設置。監理団体や受け入れ企業となる実習実施者、各種業界団体、当事者である技能実習生など、あらゆる関係者からのヒアリングを踏まえ、1993年にスタートした「技能実習制度」と2019年に新設された「特定技能」のあるべき姿を検討してきました。

最終報告によると、「育成就労」は3年間の在留が基本。熟練していない外国人労働者を確保して、即戦力の人材と位置付けている「特定技能1号」の水準まで「育成」することを目的とします。より高レベルの熟練技能が求められる「特定技能2号」の試験に合格すれば、家族帯同の無期限就労が可能で、育成就労と特定技能の流れを通じて「永住の道」が開かれることになります。

技術移転の育成だけを名目とした「技能実習」では、同一職場で計画的に技能を学ぶとの考えに基づき、職場を変える「転籍」(転職)が原則3年間にわたって認められていませんでした。一部では過酷な職場環境下で転籍できず、国内外から人権問題として批判がありました。これを払拭するため、最終報告では、「基礎的な技能・日本語試験に合格すれば、同じ仕事の範囲内で1年で転籍できる」としました。ただ、賃金差の関係などから都市部への人材流出が懸念されることから、例外措置として「当分の間は分野によって1年を超える転籍制限を認める経過措置を検討する」との緩和策も提言。詳細設計については、国会審議に議論を委ねます。

現行制度は88の職種があるものの、より熟練した技術を求める「特定技能1号」は12分野しかなく、技能実習期間が終わった後にスムーズな移行ができないという課題があったため、どの職種でも「特定技能1号」に移行できるように「職種の統一」も盛り込まれました。

このほか、外国人が借金をして来日費用を負担している現状があることから、外国人を受け入れる企業に一定程度費用を負担させることで外国人の負担を軽減させる提言も示しました。

■最終報告書(概要)
https://www.moj.go.jp/isa/content/001406715.pdf

■最終報告書
https://www.moj.go.jp/isa/content/001406714.pdf

提供:アドバンスニュース

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